ウクライナへの「超ビッグな贈り物」実際どう使う? ロシア激おこ必至「絶対墜とす」 早期警戒管制機を手にした意味とは

ロシアにとっては最優先での撃墜目標か

 ロシア空軍は2024年の1月と2月に、自軍の早期警戒管制機A-50「メインステイ」をたて続けに1機ずつ計2機、ウクライナ空軍の地対空ミサイルによって撃墜される大損害を被っています。ということは、ウクライナ空軍がS100Dの運用を始めれば、その復讐に燃えるであろうことは想像に難くありません。

 ゆえに、S100Dを有効活用するため前線近傍に進出させようとするなら、ロシアの長距離ミサイルの脅威にさらされるのは間違いないでしょう。

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ロシア空軍が運用する早期警戒管制機A-50。2024年1月と2月に、立て続けにウクライナ軍のミサイル攻撃によって喪失している(画像:ロシア国防省)。

 一方、ポーランドやルーマニアなどNATO(北大西洋条約機構)諸国の領空にとどめておくのであれば、安全は確保できるでしょうが、そうなると国土の半分しかカバーできません。

 またNATOは大型でより高性能なE-3早期警戒管制機による索敵情報の提供を既に行っていると推測されるため、もしNATO諸国の領空にとどめておくとなると、運用するメリットは限定的になってしまいます。

 筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)が考えるに、おそらくウクライナ側はS100Dを自国上空ながら比較的安全な西側空域で本土と前線防空のために警戒に就かせるのではないでしょうか。

 そうなると、S100Dの運用を開始した後は、今度はウクライナが早期警戒管制機を用いた防空戦術を改めて策定する必要に迫られるはずで、その作り込みが同国にとって今後の課題になると思われます。

【了】

【さらなる高性能モデルも】サーブが開発中の最新早期警戒管制機「グローバルアイ」(写真)

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Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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