「戦闘機よりいいもの提供するから戦闘機はお預け」スウェーデンの真意は? ウクライナめぐる“空の争奪戦”勃発か
スウェーデンがウクライナへ、戦闘機の何十機ぶんもする高価な早期警戒管制機の供与を決断。しかし、当の戦闘機の供与はお預けとなりました。その真意はどこにあるのでしょうか。実は他国も同じことを考えているかもしれません。
「早期警戒管制機」供与する! スウェーデン決断 でも戦闘機は?
スウェーデン政府は2024年5月29日、ウクライナに対して総額133億スウェーデンクローナ(約1960億円)にものぼる軍事支援を新たに行うことを発表。その中に、現在スウェーデン空軍が運用しているS-100D「アーガス」2機が含まれていることを明らかにしました。
S-100Dはサーブが生産していたターボプロップ旅客機「340」に、現在はサーブの一事業部門となっているエリクソン・マイクロウェーブが開発した「エリアイ」レーダーを組み合わせたAEW&C(早期警戒管制機)です。
スウェーデン政府はS-100Dの引き渡し時期を明言していませんが、同国政府は2022年にS-100Dの後継機としてサーブに、カナダのボンバルディアが開発したビジネスジェット「グローバル6000」に、エリアイレーダーに能力強化型「エリアイ-ER」を組み合わせた新たなAEW&C「グローバルアイ」を2機発注(その後1機を追加発注)しています。スウェーデン政府はサーブに対してグローバルアイの納入前倒しを求める方針を明らかにしていることから、S-100Dの引き渡しはそう遠くない時期に行われるものと思われます。
これまでウクライナはNATO(北大西洋上条約機構)軍のAWACS(早期警戒管制機)であるE-3「セントリー」の支援を受けて、ロシアの航空機やミサイルなどの経空脅威に対処してきましたが、S-100Dの供与により自前のAEW&Cを持つことで、ウクライナの経空脅威への早期警戒・対処能力は大幅に向上するものと考えられます。
しかしその一方でスウェーデン政府は、JAS39「グリペン」戦闘機を軍事支援パッケージに含めず、供与計画をいったん停止することも明らかにしています。
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