ロシア最新戦闘機の「保険」がもはや本命に!? 増備続くスホーイvsウクライナのF-16

ウクライナF-16とガチンコ勝負になるか?

 言うなれば、Su-35は今となっては旧式な「フランカー」の派生型でしかないものの、逆に実績ある旧型機を原型にしているからこそ、これまで積み重ねてきた高い信頼性を兼ね備えた改良発展型になっているとも言えます。だからこそ、急きょSu-57の配備遅れをカバーする代役として最適だったのです。

 Su-35の生産数は、Su-57とは反対に当初の予定だった48機から98機へと倍増され、これらは2022年までに全機が引き渡しを終えています。

 また2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻以降、さらにSu-35Sを倍にすることを決めたとも推測され、実際に人工衛星による観測画像によって多くの新造Su-35がロシア空軍へ引き渡されていることが明らかになっています。2024年6月現在、ロシア空軍が保有するSu-35S戦闘機の数は約120機と推測されます。

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UACのスホーイSu-57戦闘機。写真はプロトタイプ2号機。強化型Izdeliye 30エンジンのテストベッドとしても使用されている(画像:ロシア国防省)。

 公開情報を基に、ロシアとウクライナ、両国の損害を測る民間の情報機関「oryx」によると、ロシア侵攻開始からこれまでの2年間で、少なくとも7機のSu-35Sが戦闘において撃墜されたと公表しており、この数を信じる限りでは、少ないとは言えない損害を出していることが伺えます。損害の大きさはSu-35Sがそれだけ多用されている証だと見なすこともできるでしょう。

 まもなく、ウクライナ空軍にはF-16「ファイティングファルコン」戦闘機が配備される見込みです。F-16との戦いはSu-35が本当に「第4世代戦闘機++」であることを証明する機会となるかもしれません。

 本命誕生までのつなぎであった筈が、思いのほか長期にわたり主力戦闘機を務めた一例となったSu-35。同機は、ロシア空軍が今使える最も性能が高く十分に数のある主力戦闘機として、今後も航空優勢確保のための貴重な戦力となり、重要な作戦を担っていくのではないでしょうか。

【了】

【下がっちゃうのね】Su-35の特徴!「推力変更ノズル」を間近に見る(写真)

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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