F-14「トムキャット」対F-15「イーグル」強いのはドッチ? “時代を30年先取り”したのは
アメリカ海軍から退役した後も、いまだ根強い人気を誇るF-14「トムキャット」戦闘機ですが、生産が続く同世代機F-15「イーグル」と比べると性能的に劣っていたのでしょうか。
優位性が失われた結果…
では、翻ってF-15に同様の能力が授けられたのはいつかとなると、かなり後年のこと。「リンク16」と呼ばれるデータリンクが使用可能になり、情報共有と自律誘導型AIM-120「アムラーム」空対空ミサイルによって同時交戦能力を得たのは1990年代後期から2000年代に入ってからでした。
F-14とF-15どちらが強いのかという論争は、半世紀ものあいだ決着のついていない問題ですが、両者が現役であった期間中において、情報共有に基づくチームプレイに関してはF-14の方が先駆者だったのは明らかで、アメリカ海軍から退役する2006年頃までは、同機がほぼ優位に立っていたのは間違いないでしょう。
可変後退翼を備え、整備性に大きな課題を抱えていたF-14は、その時代においてネットワークを駆使した空中戦を行えることにより、艦隊防空戦闘機としての存在意義を確立していたと言えます。しかし、「ネットワークによる戦場の支配」というのがF-14以外の戦闘機でも行えるようになった瞬間、それまでの優位性が色あせるようになったのも事実です。
結果、より整備性に優れる新世代の戦闘機F/A-18E/F「スーパーホーネット」へと艦隊防空の主役が移り変わり、F-14は姿を消すに至りました。
こうした一連の流れを振り返ると、F-14はコストパフォーマンスの悪い先駆者であったがゆえに、自らが持つ優位性が失われたときに、どうにもならなかったと言えるのかもしれません。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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