なぜ再燃? 北陸新幹線「米原ルート」 国もJRも“無理”というが… ネックな敦賀乗り換え解消法をマジメに考えてみた

露呈した「小浜・京都ルート」の課題

 しかし「小浜・京都ルート」は、歴史的な遺物や地下水も多く存在する京都市内を大深度地下で抜けることへの危惧や、2兆700億円という高額な建設費が課題となっています

 そして2024年。北陸新幹線の金沢~敦賀間が開業し、大阪~金沢間での敦賀駅乗り換えが必要となりました。金沢~敦賀開業時点では当初、新大阪~金沢間は在来線と新幹線で軌間を変換して直通する「フリーゲージトレイン」で運行し、乗り換えなしの想定でしたが、開発は失敗。在来線では高速の特急「サンダーバード」を置き換えたこともあり、時短は大阪~金沢間で最大22分とわずかなうえ、特急料金は1600円高くなったため、「敦賀での現状固定をすぐ解消しろ」という声が高まりました。

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2016年に「小浜・京都ルート」が決定した(画像:国土交通省)。

 そこで再注目されているのが、建設距離が「小浜・京都ルート」の約143kmに対し約50kmと短い「米原ルート」です。これなら安い建設費で高速化できると、与野党の一部や加賀市長らが決定の見直しを求めているのです。

 ただし「米原ルート」が選定されない理由は複数あります。鉄道・運輸機構は2024年6月に公表した「北陸新幹線(敦賀・新大阪間)のルートに関する議論について」の中で、「北陸新幹線と東海道新幹線は運行管理システムと脱線・逸脱防止装置が異なり、線路容量も逼迫しているので、米原~新大阪間の直通は困難」「所要時間・運賃・料金が小浜・京都ルートより増える」「環境影響評価手続きが新規に必要」としています。加えて、「小浜・京都ルート」を支持し、東海道新幹線新駅設置を否決した滋賀県の同意を得ることも必要なので、早く解決できるかは不明です。

 なお、鉄道・運輸機構は北陸新幹線の新大阪駅を別に地下に設け、山陽新幹線と直通させる構想も示しています。脱線・逸脱防止装置は、レール内に逸脱防止ガイドを設けた山陽新幹線と、同じくレール間にレール転倒防止装置を備えた北陸新幹線ではやや異なり、さらに北陸新幹線は車輪側の外側にも「逸脱防止ガイド」を設置しています。東海道新幹線は車輪の中心間にレール逸脱防止ストッパを備えているためさらに異なりますが、直通構想があるということは、双方の安全装置を備えることは可能とも考えられます。つまり、JR西日本の路線内となる新大阪地下駅でなら、運行管理システムの車上切り替えをする時間が取れるのかもしれません。

【路線図】未開通の「敦賀~京都~新大阪」の想定ルート

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コメント

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1件のコメント

  1. 新幹線を狭軌にするくらいなら在来線を標準軌にしてミニ新幹線のようにしたほうがいいのでは?狭軌は高速安定性や横風への弱さの問題があるし。