なぜ再燃? 北陸新幹線「米原ルート」 国もJRも“無理”というが… ネックな敦賀乗り換え解消法をマジメに考えてみた

所要時間はどのくらいに?

 なお、京都~敦賀間の大半を占める湖西線には踏切がなく、国鉄時代から最高160km/h運転で7分短縮とされていました(現在なら車両の加減速度向上などであと1分くらいは短縮できるでしょう)。湖西線にホームドアを設ければ、狭軌新幹線の160km/h運転は容易でしょう。

 また、本来の米原ルートである北陸・中京新幹線の一部として、福井県内の敦賀~新疋田間6.7kmに新幹線規格の狭軌新線を建設します。続く新疋田~近江塩津間7.8kmはその間の5.1kmがトンネルで、残りの区間にも踏切がないので、そのまま湖西線に連続して160km/hで走れば、敦賀~近江塩津間で5分程度は短縮できると思われます。

 湖西線経由は強風によるダイヤ乱れ問題がありますが、JR西日本が沿線に防風柵を設置し、運転規制となる風速を秒速30mに引き上げたところ、運転見合わせ時間が設置前の26%に減ったとのことですから、改良でのリスク引き下げは可能でしょう。札幌市営地下鉄のように線路の一部をフードで覆っても、「米原ルート」建設より安いのではないでしょうか。

 上記を実行した場合、新大阪~金沢が敦賀通過で1時間43分(現状より22分短縮)、富山駅までが2時間3分程度となります。「小浜・京都ルート」は新大阪~金沢間が1時間19分、富山駅までが1時間39分程度、乗り換えのある「米原ルート」だと新大阪~金沢間が1時間41分、富山駅までが2時間1分程度です。

 さらに狭軌新幹線は在来線を通り関西空港やUSJ、名古屋駅へも直通可能です。在来線経由なので並行在来線問題も発生せず、京都駅も経由。「米原ルート」のように収益の一部をJR東海に取られる問題もありません。運行管理システム変更も不要です。

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特急「サンダーバード」(安藤昌季撮影)。

 その後で「小浜・京都ルート」が完成しても、名古屋~富山間の特急「しらさぎ」を狭軌新幹線で残せば、三線軌道設置や狭軌新幹線の開発費は無駄になりません。敦賀~富山間を三線軌条にするには北陸新幹線を止める必要がありますが、旧北陸本線の第3セクター鉄道に、一時的に特急「サンダーバード」を復活させればよいのではないでしょうか。

【了】

【路線図】未開通の「敦賀~京都~新大阪」の想定ルート

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

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1件のコメント

  1. 新幹線を狭軌にするくらいなら在来線を標準軌にしてミニ新幹線のようにしたほうがいいのでは?狭軌は高速安定性や横風への弱さの問題があるし。