最近聞かない「可変翼機」なぜ衰退した? 翼の角度が変えられる飛行機 そもそもメリットは?

いまだ人気の戦闘機F-14「トムキャット」をはじめ、軍用機から発展した可変翼という技術ですが、最近開発された機種で採用されたという話は聞きません。なぜ衰退してしまったのでしょうか。

「あーそういう意味!」な可変翼もあった

 1942(昭和17)年にドイツで初飛行したジェット戦闘機メッサーシュミット Me262は、エンジンの配置など重心調整で後退翼が採用され、後にそれが高速飛行に適していることが判明します。そして、音速で迎撃するジェット戦闘機として開発されたメッサーシュミット P.1101は、主翼の後退角を変えることで飛行特性を変化させる可変翼機として研究されますが、完成前に終戦となり実用には至りませんでした。

 一方、ソ連では1940(昭和15)年に下翼を上翼に引き込み複葉と単葉に可変する戦闘機「ニキーチン・シェフチェンコIS-1」が開発されましたが、この可変方式は発展しませんでした。

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米エアショーでデモ飛行を行うメッサーシュミットMe262。後退翼を備えた革新的な戦闘機で、P.1101はそのパーツを流用して開発が進められた(2017年、石津祐介撮影)。

 戦後、未完成のP.1101を本国に持ち帰ったアメリカが、1951(昭和26)年に可変翼実験機X-5の試験飛行を成功させます。その後、実用化を目指して様々な可変翼の航空機が開発されますが、主翼角度の変化によって操縦特性も変わるため、うまくいきませんでした。

 可変翼機が実用化されたのは、1964(昭和39)年に初飛行を行ったF-111「アードバーグ」です。同機はアメリカ空軍やオーストラリア空軍に採用され、ベトナム戦争や湾岸戦争などに参加しました。

 当初、F-111は開発費と維持費の軽減のため、アメリカ空軍と海軍とで共通化した機体にする予定で、計画では空軍型のA型と艦上戦闘機型のB型を開発する予定でした。ところが空軍と海軍の要望を採り入れるために様々な機構を採用した結果、機体の重量が予想よりはるかに増加し、海軍は重量増加では運用は困難とB型の採用を取り止めたため、A型のみがアメリカ空軍に採用されました。

 その後、技術革新によりコンピューターによる飛行制御が可能となったため、F-111も「CAS(コントロール増強システム)」を導入。これにより、ようやく可変翼が実用化に至ります。なお、F-111の主翼角度は、飛行中にパイロットが手動で変更させる方式でした。

【全然違う!】F-14「トムキャット」翼を最大限に広げた状態と最小限に畳んだ状態を見比べ(写真)

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