マーヴェリック実在?『トップガン』の低空飛行をリアルにやっていた飛行士の“伝説”

映画『トップガン』で一躍有名になった名機F-14「トムキャット」。この機体を駆って映画さながらのアクロバット飛行を記録に残した人物がいます。その名はスノッドグラス。彼になぜそのような飛行ができたのか話を聞きました。

フェイク画像と噂の絶えないホンモノ写真

 1986(昭和61)年に公開された映画『トップガン』は映画史に残る空前の大ヒット作品となり、同時にアメリカ海軍の戦闘機パイロット(厳密には海軍飛行士「Naval Aviator」)と、劇中に登場した戦闘機F-14「トムキャット」の存在を世間に広めました。その描写は、現実世界における運用をリアルに反映したものではありませんでしたが、それでも俳優トム・クルーズ演じる主人公「マーヴェリック」が操縦して縦横無尽に飛び回るF-14の姿は、見た人すべてに強烈なインパクトを植え付けたことは間違いないでしょう。

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アメリカ海軍のF-14「トムキャット」戦闘機(画像:アメリカ海軍)。

 劇中、マーヴェリックらが操るF-14「トムキャット」の飛行シーンで、管制塔や空母の艦橋上空を低空で高速飛行させて人々を驚かせるシーンがあります。その衝撃で艦内にいる管制官やエアボス(空母の航空部門のトップ)が飲んでいるコーヒーを吹いてシャツを汚してしまい、マーヴェリックに酷い悪態をつくというものです。このシーンのオマージュは、続編である『トップガン マーヴェリック』でも見ることができます。

「こんな低空飛行は現実にあり得ない」と思いながらも、マーヴェリックのキャラクター性とコミカルともいえる演出を視聴者は楽しんだのではないでしょうか。しかし、あのような低空飛行を現実にF-14「トムキャット」で行った海軍飛行士が存在するのです。

 F-14についての書籍や、インターネットで画像検索すると必ず出てくる1枚の有名な写真があります。それは空母の飛行甲板上から撮影されたもので、手前には飛行甲板と左舷後方にあるLOS(着艦信号士官)プラットフォームとフライトデッキクルー(甲板作業員)が映っており、その奥に機体を横転させたF-14が機体背面をこちらへ向けてスレスレで飛んでいるというものです。

 映画『トップガン』のマーヴェリックでさえ、フィクション世界でももう少し高く飛んでいたことなどから、その非現実的な構図ゆえ、いまだに「グラフィックソフトを使ったフェイク画像」といった噂が絶えない写真です。しかし、この写真は本物であり、操縦していたパイロットや撮影された時期もしっかりと判明しています。

【リアルです】ジェット練習機でアクロバット飛行を見せる生前のスノッドグラス氏

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