危険性わかっているのに! 悩ましい「第4種踏切」問題 “コスパ良い改善プラン”もあった?
遮断機はないけど「派手に警告」する装置も
抜本的な対策としては立体交差化が挙げられますが、こちらは第1種踏切に転換する以上の事業費が発生してしまいます。財政基盤の弱い地方の自治体やローカル私鉄では、ほぼ不可能といわざるをえません。
では、方策はないのかというと、この問題を、他のやり方で対処している鉄道事業者も存在します。たとえば福島市を走る福島交通飯坂線(飯坂電車)では、25か所ある第4種踏切の一部に踏切警報機と同じ原理(軌道回路)で作動する回転灯を設置し、列車の接近を知らせて注意を促す仕組みにしているほか、カーブミラーを設置して列車の接近を確認できるようになっている場所もあります。
福島交通でも第4種踏切を廃止すべく、統廃合もしくは第1種化を考えていますが、先に述べたような私有地と線路を挟んだ表通りとを結ぶ「マイ踏切」の即時解消は費用面で困難なため、回転灯で列車の接近を知らせる方式を採用し、ひとまずの安全確保を図ったものと思われます。予算が限られる中では、現実的な対応といえるでしょう。
筆者(咲村珠樹:ライター・カメラマン)も第4種踏切の廃止に賛成の立場ですが、住民にとってなくてはならない踏切も少なくないため、踏切道改良促進法に基づいて鉄道事業者と住民、自治体が「地方踏切道改良協議会」で協議を重ね、長期的な視点で進めていくしかないと考えています。
その間の安全確保としては、福島交通飯坂線で見られるような、簡易的な警報装置による注意喚起策が有効ではないでしょうか。
【了】
Writer: 咲村珠樹(ライター・カメラマン)
ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。
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