「世界で最も危険な道路」が崩落してしまった… 経済への影響「計り知れない」 地震でさらに危険さを増す 台湾

「完全復旧まで5年…」花蓮地震の大きな影響

 しかし2024年4月3日、「100年に一度」とも言われるマグニチュード7.2の花蓮地震が発生。この地震での18名の死者のうち3名は「中部横貫公路」上の太魯閣国家公園での巨大な落石によるものでした。一時は「中部横貫公路」沿いで取り残されてしまった観光客なども多くいました。

 地震発生からしばらく経過して、同公路はいくつものエリアで道路の崩落、土石流などによる封鎖が起きていたことも明らかにされました。このため台湾政府は「『中部横貫公路』の完全復旧まで、最低でも5年以上がかかるだろう」と発表。西部と東部を結ぶ「中央部唯一の主要道路(省道)」は長期間にわたり寸断されることとなりました。

 現在、「中部横貫公路」は、一部のみ通行ができる状況ですが、時間制限があり、当日の天候などによっては完全封鎖となることもあります。そのため、現実的に観光客がアクセスするのは困難で、「世界で最も危険な道路」は、予期することができない落石や土石流などでさらに危険さを増しています。

 また、「中部横貫公路」の寸断による経済的ダメージも大きくなっています。代替道路を使わなければアクセスできなくなってしまった東部・花蓮は、観光収益の多くを失い、地元住民はその影響について「計り知れない」と明かします。

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2024年6月には一部通行できるようになっていたものの、1日3度ほどの時間制限がある(2024年、松田義人撮影)。

 2024年7月現在、余震は今なお続いており、この経済的な打撃は長期間続くと予想されています。「世界で最も危険な道路」は、同時に経済的にも強い影響力を持つ重要な道路だったことも証明しました。

【了】

【わ、あぶね!】これが、「世界で最も危険な道路」の様子です(写真)

Writer: 松田義人(ライター・編集者)

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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