「背もたれが直線的」は杞憂? 阪急「PRiVACE」実際どうなのか、体験し尽くす!「向かい合わせ?できますけど…」
向かい合わせにもできるけれど…
ユニークなのは、4番と5番のBC席(2人掛け座席)にチャイルドシートを装着できることです。利用するには対象の席を予約のうえ車内でアテンダントに申し出ると、座席にチャイルドシートを装着してくれます。必ず保護者と子どもが並びで座るというルールです。全国でも稀有な取り組みで、定着してほしいと感じました。
なお座席を向かい合わせにすることについて、広報部は「機構上は可能ですが、プライベート感を損なうことから、通常は進行方向向きとしています」とのことでした。
ひとつ残念だと感じたのは、座席ごとの個別窓です。サイズは幅58cm、高さ88cmですが、大型ヘッドレストも影響し、リクライニングしない状態では風景があまり見えません。ビジネス利用でのリピーターなら問題はないでしょうが、景色が見づらく開放感に欠ける印象でした。プライベート感重視の1列1窓であれ、座席間隔が「PRiVACE」と近い東武1720系「デラックスロマンスカー」(幅90cm)のように窓間柱を細くできたように思えます。
ただし、「PRiVACE」は500円の座席指定料金に十分見合う設備と感じました。なお有料座席サービス開始後も、観光列車「京とれいん雅洛」は無料を継続するとのことでした。
新型車両2300系で4号車以外の、料金不要の一般車両も見学しました。特急に使われる9300系との違いは運転席後ろのロングシートがなくなったこと。これは「運転機器が増えたことによる変更」とのことです。そのため優先座席がクロスシートに設置されています。座席は9300系とは別のもので、クロスシートでは肘掛けの木材形状を変更し、座席布地をストライプとしています。
ロングシートは袖仕切りが大型化され、かつガラス張りとなっていて開放感があります。なお「PRiVACE」は既存の9300系にも連結されますが、広報部は「9300系は順次2300系で置き換えていき、ロングシート化などの車両運用に合わせた改造を行う」と話しました。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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