ブルーインパルス飛行中に報道ヘリ接近… 対策はないの? パイロット必見の注意報とは

「飛行禁止」ではありません

 通常とは異なる航空機の飛行についてもNOTAMが出されます。たとえば航空祭(エアショー)や、市街地における航空自衛隊「ブルーインパルス」の祝賀飛行などが代表的な例で、飛行が実施される空域(飛行経路や高度帯など)を指定して、通常とは異なる形で航空機が飛行することを告知します。

 ただし、NOTAMは「飛行において注意が必要な情報の提供」に過ぎず、飛行禁止空域の設定など強制力をともなうものではありません。記憶に新しいところでは、2024年6月29日に神奈川県川崎市の等々力緑地で開催された同市制100周年祝賀イベント「かわさき飛躍祭」にて「ブルーインパルス」が飛行した際、取材のヘリコプターがNOTAMで指定された制限空域に接近し過ぎてしまい、安全確認のため「ブルーインパルス」の展示が一時中断されました。

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NOTAMなど航空の安全情報を提供している国土交通省航空局のサイト「AIS JAPAN」(画像:国土交通省航空局「AIS JAPAN」)。

 ただ、だからといって飛ぶことを禁止しているわけではない点に留意が必要です。NOTAMは先に述べたように「飛行禁止空域」ではないため、万一その中に入ったとしても罰せられることはないのです。

 とはいえ、航空関係者にとって、NOTAMは飛行する際に把握しなければならない重要な情報であることは間違いありません。その点では、空の安全を守るため、大きな役割を果たしているといえるでしょう。

【了】

【制限空域どこかわかる?】コレ読み取れたらプロかも、なNOTAMサイトを見る

Writer: 咲村珠樹(ライター・カメラマン)

ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。

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