「東京でも大阪でも同じ電車ばっかりだったよねー」 今や懐かしい「国鉄標準形」 みんな同じで実は違う?

同じに見えてみんな違う! 457系(451系・453系・455系・471系・473系・475系・457系)

 いっぽう、交直両用急行形電車の標準形が457系です。457系は、厳密には50ヘルツ用の451系と60ヘルツ用の471系、そのパワーアップ版の453系と473系、それらに抑速ブレーキを備えた455・475系、そして50・60ヘルツどちらも走れるようにした457系に分類され、合計約600両のグループを作りました。

 直流・交流電化どちらも走れる457系グループは、大都市圏の直流電化区間に乗り入れることも可能。急行列車の衰退後はローカル運用に転じましたが、九州から東北までの広い範囲で見ることができました。

 2024年7月現在は、クハ455-701が残存するのみです。この車両は国鉄時代の1986(昭和61)年に先頭車不足への対策として中間車のサハ455形を先頭車改造した上、さらに近郊形の413系へ編入したもの。同車を含む413系の3両1編成はJR西日本からえちごトキメキ鉄道に譲渡されており、今なお国鉄時代の交直両用急行形電車の面影を偲ぶことができます。

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米原駅に到着した457系の北陸本線普通列車(遠藤イヅル撮影)。

 ちなみに、標準型の車両は、1500両も作られた485系のような特急形のほか、気動車(ディーゼルカー)でも当然ありました。北海道や東北、九州、四国地方では非電化区間も多いため、電車以上に広範囲で「同じような車両」が走っていました。

 昭和の映画の代名詞ともいえる『男はつらいよ』では、主人公の車寅次郎が全国をめぐるシーンで国鉄の気動車も数多く登場しますが、それを見ても、各地域で「同じような車両」が走っていたことがわかります。

【了】

【写真】ほら全然違うだろ 懐かしの「国鉄標準形」電車たち

Writer: 遠藤イヅル

1971年生まれの自動車・鉄道系イラストレーター/ライター。雑誌、WEB媒体で連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。クルマは商用車や実用車、鉄道ではナローゲージや貨物、通勤電車、路面電車、地方私鉄などを好む。

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