最新戦闘車両のコントローラー操ってみた!「ゲームしてる!?」そこは戦場

ゲームっぽいのは見た目だけ

 まず、このコントローラーはコンセプトこそゲームパッドと同じですが、設計自体は独自のものとなっています。

 ボタンの押し間違いでうっかり暴発する危険性を考える人がいるかもしれませんが、左右のグリップ部分にはセーフティー用のスイッチ、通称「デッドマンスイッチ」があり、これを押し込んだ状態でなければ操作できないようになっています。射撃用のトリガー部分にもセーフティー用のカバーがあり、操作を行う時にはコントローラーをしっかりと持ち、決められた手順を守らないと入力することができません。

 コントローラー自体も軍隊でのハードな使用に耐えられるように極めて丈夫に作られており、見た目こそゲーム機のコントローラーのようですが、非常に高価なのだとか。その価格は担当者いわく「正確な値段は言えませんが、だいたい家庭用ゲームの10台分くらいの値段です」とのことでした。

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「スカイレンジャー」のデモンストレーション用シミュレーター。左のモニターにセンサー情報が表示され、右のモニターには周辺状況がマップ型式で表示されていた(布留川 司撮影)。

 また、「スカイレンジャー」の操作自体もゲームとはまったく異なっていました。コントローラーを使って操作こそできますが、目標の探索や照準は搭載されたセンサーが行うため、任務中は射撃よりもシステムを操作する方が多くなります。

 筆者はシミュレーターで目標の捕捉まで行い、実際に射撃する段階までいきましたが、目標は対空砲の射程よりも遠方にいたために「スカイレンジャー」の火器管制コンピューターがそれにストップを掛けて発射することはできませんでした。つまり、ゲームパッドで操作はできても、実際にはシステムと運用をしっかり理解してなければ、弾を撃つことは無理なようです。

 2024年現在、ゲームパッド型のコントローラーは兵器システムの操作だけでなく、ドローンなどの遠隔操作系の機器でも積極的に使われています。それらを操作する様子は、周りからはゲームで遊んでいるように見えるかもしれません。

 しかし、同じなのは文字どおりに見た目だけであり、実際に操作するオペレーターには専門知識と技術が必須だと言えるでしょう。

【了】

【操作性バツグン!】これが直感で操作できる最新の武器コントローラーです(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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