自衛艦イチ“クセ強”? 能登半島地震で爆速上陸した「水陸両用艇」の基地へ 「ここ飛行場ですか?」フネらしさゼロ!?
ますます飛行機のような施設続々
●洗浄機
船体の海水を洗い流す施設で、左右のダクトから15tの真水を噴射して5分で完了します。洗浄作業は必須で輸送艦内にも真水ホースがあり、帰艦してくると人力で洗浄作業を行います。
●格納庫
整備を行う施設で天井クレーンなどが揃っており、自走クレーンも入場できる高さがあります。扉構造などは飛行機の格納庫とよく似ています。
●移送装置
LCACを吊り上げて、海上から施設内各所を移動させる自走クレーンです。定格荷重150tとなっていますがこの荷重では自走できず、120tまでが自走可能な限界です。速度は荷重状態で20m/分、空荷で40m/分。LCACの乾燥重量は85tですが、海から上がる時は海水を含んで100t位にもなるそうで、それでも吊り上げられる能力があります。
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なお、移送装置の操縦席は前進方向右側、前後にあり、エンジンで発電し電動モーターで車輪を駆動する方式です。走行時は操縦士1名で、地上誘導員が付きます。
LCACの運用は特殊技術と専用の施設を必要とする艦艇とはまた違ったプロジェクトです。その「クセ強」な特徴から、飛行場のような整備施設でのメンテナンスが欠かせませんが、島国で離島も多い日本には無くてはならない存在です。
ちなみに自衛艦には通常、自衛艦旗が掲げられますが、LCACには側面に国籍を示す自衛艦旗が描かれています。LCACではプロペラへの巻き込みを防ぐため旗を掲げることができないのです。胴体に国籍標識を描くのも飛行機みたいでフネらしくない「クセ強」な性格の一端でしょうか。
【了】
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。
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