地震発生で戦闘機が緊急発進なぜ? ミサイル積んだまま 人命救助や物資輸送できないのに飛ぶ意味

2024年8月8日に日向灘で発生した地震において、真っ先に航空自衛隊の戦闘機などが飛び立ちました。ただ、戦闘機は本来、領空防衛を担う装備であるハズ。被災地救援できない戦闘機はどのような任務で出動したのでしょうか。

たまたま近く飛んでいて状況偵察するケースも

 戦闘機は、その高い機動性と速度性能を活かして被災地上空へ一番乗りし、パイロットは目視による偵察飛行を実施して、第一報を送ります。戦闘機の飛行高度は高く、かつ高速であるため収集可能な情報量は多いとはいえないものの、「大規模な火災が発生している」「火災は確認できない」「市街地全域が見えない(停電が発生している)」といった、災害のおおよその規模を知ることができます。

 なお、悪天候であった場合などは戦闘機では全く情報を得られません。また災害派遣で出動しなくてはならない事態が発生していた場合には、もっと具体的な映像情報が必要となります。

 ただ、そのためのセンサーを搭載した能力の高いヘリコプターや救難機は「15分待機」にあり、戦闘機よりも遅く到着することになります。ゆえに、誰よりもいち早く被災地上空へと飛んでくることが可能な戦闘機が、いうなれば「先遣隊」として駆け付け、まずは第一報を防衛省本省や総理官邸などにあげるのです。

 ちなみに、この任務は何よりも即応性が重要なので、実弾の空対空ミサイルなどは降ろさず、携行したまま被災地上空まで飛来します。

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航空自衛隊のC-2輸送機(画像:航空自衛隊)。

 過去を振り返っても、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震をはじめ、記憶に新しいところでも2024年1月1日の能登地震など、大きな被害をもたらした震災時には必ず戦闘機が緊急発進しています。

 また、かつては震度5弱以上の地震で緊急発進していましたが、頻度が多すぎてしまうことから現在では発進の目安は震度5強以上に引き上げられています。

 今回の地震における自衛隊の活動情報は、まだ明らかとされていないため、あくまでも推測になりますが、おそらく震源に最も近かった宮崎県の新田原基地は滑走路などの被害状況を確認するため緊急発進を行わず、次に震源に近い戦闘機基地である築城基地のF-2が発進したのではないかと筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)は推測しています。

 なお、たまたま近辺にいた航空自衛隊のC-2輸送機が、宮崎県の海岸沿いを飛行したことも明らかになっています。こちらは、おそらく津波の発生に備えた情報収集を行っていたのではないかと考えられます。

【了】

【なんで戦闘機?】防衛省・自衛隊が地震発生を知らせるXに投稿した実際の画像

【ミリタリー】急げ、救え! 自衛隊「災害派遣」の現場にせまる!

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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