自衛隊「専用トラック」大水害になぜ強い? 空から落としても津波喰らっても大丈夫な理由

台風や豪雨などではパトカーはおろか、消防車でも救援に向かうことが難しい場合があります。一方で、自衛隊のトラックは東日本大震災の冠水エリアで問題なく走行したとか。なぜ自衛隊のトラックは水に強いのでしょうか。

輸送機からの空中投下もOK

 台風や豪雨などで冠水した道路を走ると、民間車では即座にエンジンルームが浸水し走行不能になってしまいます。それは一般的なパトカーや消防車も同様。しかし、自衛隊車両は水深の深い場所でも走れるといわれています。一体どれくらいの深さまでなら問題なく走れるのでしょうか。

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2011年の東日本大震災で水没地域内を走る陸上自衛隊の3 1/2tトラック(画像:陸上自衛隊)。

 そもそも、自衛隊が保有する車両のすべてが悪路走破性に優れているわけではありません。専用設計の車両はおのずと車両本体価格は高額なほか、どうしても燃費が悪いため、燃料コストなども専用部品も高くなります。そのため、自衛隊でも市販車を多数使用しており、営業車のような「業務車」や、大型バスそのままの「人員輸送車」、カラーリングだけ変えたような「業務トラック」などが全国の基地・駐屯地に配備されています。

 これらは、市販車とほとんど変わらないため、自衛隊車両といっても悪路や冠水地域には不向きです。

 日本国民の多くが思い浮かべる、不整地や浸水エリアでも走れそうな自衛隊車両、それは「高機動車」や「3 1/2tトラック」などでしょう。

 これらは、防衛省が作った仕様書に沿って設計されている「自衛隊専用車両」であり、市販はされていません。ただ、そのぶん市販車には求められないような要求数値が盛り込まれており、基準をクリアしているかの専門試験まで行っています。たとえば、一般車なら行わないような、輸送機からの空中投下も採用前に実施しています。
 
 だからこそ、堅牢で水にも強く、整備性にも優れた車両に仕上がっているのです。

【画像】これが自衛隊「3 1/2tトラック」の消防向け派生型です

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