自衛隊「専用トラック」大水害になぜ強い? 空から落としても津波喰らっても大丈夫な理由

東日本大震災時に性能いかんなく発揮

 自衛隊専用設計の車両は前出の「高機動車」と「3 1/2tトラック」以外にもいくつかありますが、比較的ポピュラーな車両は前出の2種類以外だと、「1/2tトラック」と「1 1/2tトラック」ではないでしょうか。

 この4車種は、全国の基地・駐屯地で見られます。また1/2tトラックは47都道府県すべてに配置されている地方協力本部という防衛省の出先機関などでも使用されています。

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2011年の東日本大震災時、水没地域内でトレーラーを引いて走る陸上自衛隊の3 1/2tトラック(画像:陸上自衛隊)。

 車体サイズの小さい方から並べると、6人乗りの「1/2tトラック」、10人乗りの「高機動車」、17人乗りの「1 1/2tトラック」、24人乗りの「3 1/2tトラック」となります。

 これらは大きさだけでなく、車重やタイヤの数、果ては最低地上高なども異なるものの、渡渉能力は水深80cm(標準積載状態)で統一が図られています。この数値は最も小さな「1/2tトラック」にも明記されているため、吸排気周りにもその数値に対応するための艤装が施されているはずです。

 足回りは全車AWD(全輪駆動)で、車両によっては油圧モーター式のウインチが装備されています。そのため、ぬかるみや泥濘地でも優れた走破性を誇ります。

 実際、いすゞの公式動画では「3 1/2tトラック」の走行試験を見ることができますが、タイヤの3分の2が水の中に入り、荷台の直下まで水面が迫っていても走っています。

 また水深80cmという数値は、確実に走れる保証のスペックなので、状況次第では100cm、すなわち水深1mでも問題ないかもしれません。

 一説によると、3 1/2tトラックは2011年の東日本大震災時、津波による被害を受けた自衛隊車両のなかで唯一動いたクルマだったとか。

 ちなみに、このように優れた悪路走破性を持つ3 1/2tトラックのコンポーネントを流用した救援車両として、東京消防庁には「救出救助車」という6輪駆動車が配備されています。

【了】

【画像】これが自衛隊「3 1/2tトラック」の消防向け派生型です

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Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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