「夜行列車」ブーム!? 相次ぐ“復活”に鉄道ファン歓喜…それ以外の「価値」は今あるのか?

夜行列車と「相性がいい」趣味がある

 日本においては、スピードでは飛行機や新幹線、安眠ではフェリー、コストではLCCや夜行バスがあります。夜行列車が優位となる領域は狭まっており、今後も夜行列車の主役は貨物列車になりそうです。

 2010年代以降にJRで相次ぎ登場した超豪華列車、いわゆるクルーズトレインも夜行列車といえばそうですが、これらは地域や鉄道会社をブランド化する「看板」としての役割の方が大きいと考えられます。

 他方、昔から夜行列車が支持されてきたレジャーの一つが「登山」です。

 東武鉄道はいまも、登山シーズンなどに夜行列車を運行しています。2024年にはJRも新宿-長野方面の夜行「アルプス」を特急として復活させました。

 早朝から山に入るため、夜行列車は移動時間と前泊を節約できます。登山者は体力もあり、普段と異なる環境でも眠れるので相性が良いのでしょう。

 冬のスキーも同じで、バブル前後のスキーブームの際は、スキーバスに触発された夜行スキー列車「シュプール号」が各方面に運行されていました。

 近年では夜行イベント列車も人気を呼んでいます。いすみ鉄道やえちごトキめき鉄道、西武鉄道などで実績があります。これは移動ではなく「乗ること」が目的ですが、鉄道ファンが夜行列車という非日常の鉄道を楽しむ趣向なので、安眠とは真逆の“ほぼ眠らない”異色の夜行列車と言えるでしょう。

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夜行フェリー「さんふらわあ くれない」のスイートルーム。設備面ではフェリーが列車を圧倒する(乗りものニュース編集部撮影)。

本格的な夜行列車の復活には「壁」

 夜行列車を運行する際には、どうしても課題になることがあります。それが「保線」です。

 全国新幹線計画が作られたとき、「夜行新幹線」も構想され寝台車も試作されました。しかし、新幹線が高速運行されている間は危険なので線路に立ち入れず、夜間に集中して保守を行うようになり、新幹線で夜行列車は運転できませんでした

 近年では在来線も、今までのように短い保守間合いで作業を終わらせる人員が確保しづらくなっています。このため新幹線と同様、夜間に集中して保守をしたいのですが、夜行貨物列車の運行と競合するため、この折り合いが課題とされています。

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