航空祭で戦闘機が白煙に包まれたのですが危なくないんですか? 操縦士は前見えているのでしょうか
Gスーツなしで10Gに耐える強者も
とはいえ、世界を見渡すと先に述べたGスーツなしで、飛行中の大きなGに耐えている例もあります。アメリカ海軍のアクロバットチーム「ブルーエンジェルス」では、プロペラ機時代からの伝統として装着しないほか、プロペラ機で行われるアクロバット飛行(エアロバティックス)やエアレースのパイロットたちもGスーツなしで飛行しています。
プロペラ機といってもアクロバット飛行やエアレースの際、動きによってはジェット戦闘機を超える最大10~12Gがパイロットの身体にかかります。
なぜ、プロペラ機パイロットはGスーツを着ないのか。その理由は、ジェット機と違ってエンジンから圧縮空気を供給することができないため、そもそもGスーツが使えないからです。では、どのような形でGに耐えているのでしょうか。それは自分自身の「筋力」でした。
筆者がエアレースの取材をしている際、パイロットに「どうやってGに耐えているのか?」と質問したことがあります。その時返ってきたのが「脚や下腹部に思いっきり力を入れて、顔を『トマト』にするんだ」という答えでした。
筋肉を緊張させて体内から血管を締め付け、そして“いきむ”ことで顔をトマトのように紅潮させ、血液が下半身に流れることを防いでいるのだそうです。後日、筆者自身もプロペラ機に同乗してアクロバット飛行を体験した際、その言葉に従って実行したところ、Gスーツなしで最大7Gの負荷を経験しながら、意識を失わず最後まで飛行を楽しむことができました。
ジェット戦闘機のパイロットたちも、Gスーツの限界を知っているので、自身の筋力で踏ん張って大きなGに耐えているとのこと。普段の筋力トレーニングは、強大なGに対応するためにも、必要不可欠なものなのです。
【了】
Writer: 咲村珠樹(ライター・カメラマン)
ゲーム誌の編集を経て独立。航空宇宙、鉄道、ミリタリーを中心としつつ、近代建築、民俗学(宮崎民俗学会員)、アニメの分野でも活動する。2019年にシリーズが終了したレッドブル・エアレースでは公式ガイドブックを担当し、競技面をはじめ機体構造の考察など、造詣の深さにおいては日本屈指。
記事のタイトルと記事の内容が違うような気がするのですが。
Q.航空祭で戦闘機が白煙に包まれたのですが危なくないんですか? 操縦士は前見えているのでしょうか
A.翼や時には胴体の周囲の空気の大きな圧力差が生じることで空気が急激に膨張し、空気中の水蒸気が結露して霧になって白く見えるもので飛行機雲と同じく煙ではありません
高機動飛行や湿度の高い時に起こりやすいです
基本的に操縦席の前方には発生しないので、操縦には問題ありません