クルマが「跳ねる! 踊る!! 犬のおしっこポーズまで!?」ド派手な動きどうやってるの? 一時は消滅の危機も
野外イベントなどでボディが上下動したり、3輪走行したりする派手なボディカラーのクルマを見たことはないでしょうか。これは、アメリカ西海岸で生まれた自動車文化「ローライダー」というもの。なぜこのような動きが可能なのでしょうか。
繁華街で見かけるド派手カスタム「ローライダー」
東京の渋谷や大阪の心斎橋などといった都市部の繁華街、あるいは横浜の大黒パーキングエリアのような人やクルマが集まる場所に行くと、ひと昔前のアメリカ車ながら、派手なカラーリングのボディに、小径のタイヤを履いて車高を地面スレスレまで下げた改造車を見かけることがあります。
このようなクルマは「ローライダー」と呼ばれるカスタム車で、基本的には1950~1990年代に作られたアメリカ製のフルサイズ車をベースに、車高を限界までローダウンし、車体サイズと比べると極めて小径のタイヤを履き、ボディは極彩色にリペイントしているのが特徴です。
発祥は1940年代の南カリフォルニアで、もともとは「チカーノ」と呼ばれるメキシコ系アメリカ人の若者たちの間ではやったカスタムでした。彼らは場合によっては不法入国者であることも多く、ゆえに満足な収入を得られなかったことから裕福な白人のように新車を買うことができませんでした。
そこで、格安で入手した中古車を改造して、新車に負けないゴージャスなカスタムを施します。彼らはスピードには興味がなく、派手で目立つカスタムカーで街中をゆっくりとクルージングすることを目的にしていました。
ただ、ローライダーの中にはギャング団に所属する者もおり、チカーノの若者が改造車で跋扈することは治安の悪化につながるとの偏見も生まれたことから、カリフォルニア州政府は1958年に車両法を改正して、車高の低いローライダーの取り締まりを強化します。
規制と取り締まりの強化によってローライダーはそのまま消え去るかと思われましたが、チカーノの整備士だったロン・アギーレが、航空機機用の油圧部品を流用してサスペンションの高さを自在に変更するシステムを発明します。これは「ハイドロリクス」、通称「ハイドロ」と呼ばれるもので、これを使えば停車時は車体が地面に着地するほど低くなるものの、スイッチひとつで走行時は車高を高くすることが可能です。
この画期的なシステムは、ローライダーファンの間で瞬く間に広がって行きました。
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