「レッドサラマンダー」だけじゃない! 消防の“水陸両用車”実はかなり増えていた 実際「使えるんですか?」
「レッドサラマンダー」と似て非なるものとは?
消防庁が導入を進めている水陸両用車は「大型」「中型」「小型」の3種類あり、前出の「レッドサラマンダー」は「大型」にあたります。そして同車とともに消防が運用するもう1つの大型水陸両用車、それが「レッドヒッポ」です。
「レッドヒッポ」は、2022年4月に大阪市消防局で運用が始まった水陸両用車です。岡崎市の「レッドサラマンダー」と同じく、前部ユニットと後部ユニットを連結した屈折式と呼ばれる構造で、足回りもゴム製クローラーとよく似ていますが、車体は全長7.87m、全幅1.98m、高さ2.54m、重量約7.03tと一回り小型です。一方で、乗車定員は14人(前部ユニットに4人、後部ユニットに10人)と「レッドサラマンダー」よりも増えています。
最高速度は65km/h、登坂傾斜角度は31度、最大1mの溝を乗り越えられるほか、水に浮くことで最大35km/hで航行可能です。この浮航能力は「レッドサラマンダー」にはないため、「レッドヒッポ」の最大の特徴といえるでしょう。
ちなみに「レッドヒッポ」も、今回の能登半島の大雨災害では現地へ派遣されています。
一方、中型水陸両用車といわれるのが、2019年から全国に配備が始まっている全地形対応車です。ベースはアメリカ・ハイドラトレック社製の車両で、足回りはゴムクローラー式であるものの、「レッドサラマンダー」や「レッドヒッポ」のように連結式の屈折仕様ではなく、単車構造のため小回りが利き、運転もしやすいのが特徴です。トーハツ(東京都板橋区)が輸入し、消防向けとして追加の艤装を行っています。
車体サイズは全長4.93m、全幅2.36m、高さ2.94m。アルミボディのため重量は約3.6tと軽いです。陸上では最大20km/h、水上では車体後部のプロペラ(スクリュー)を回すことで最大5.6km/hで航行できます。乗車定員は陸上8名、水上6名と前出の2車よりも少ないものの、車体が軽量コンパクトなため、専用の搬送車も2軸4輪の小型のもので対応可能であり、その点でも「レッドサラマンダー」「レッドヒッポ」より運用しやすくなっています。
配備先も多く、すでに徳島県(板野東部消防組合)や千葉県(山武郡市広域行政組合消防本部)、奈良県(奈良市消防局)、愛知県(豊橋市消防局)、熊本県(宇城広域連合消防本部)、宮城県(大崎地域広域行政事務組合消防本部)などに引き渡されています。
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