「レバノン脱出」自衛隊の輸送機に乗せられるのは“日本人だけ?” 変化した「在外邦人退避」 苦い経験を活かせるか

レバノン情勢の急変を受けて、航空自衛隊の輸送機2機がヨルダンとギリシャに向かいました。情勢が悪化した地域では自衛隊による在外邦人の退避が行われますが、その根拠となる法律は3年前の苦い経験を受けて改正されています。

輸送の安全を巡る改正

 さらに、在外邦人等の輸送を実施する際の安全性についても法改正が行われました。従来の規定では、輸送を行うに際して、防衛大臣が予想される危険やこれを避ける方策を外務大臣と協議し、その結果「輸送を安全に実施することができると認めるとき」に実施できるとされていました。

 しかしこれでは、あたかも民間機の運用が可能といった安全な状態でしか輸送任務を実施できないのではないかという誤解を招くおそれがありました。そのため、現在では「(防衛大臣が)当該輸送において予想される危険及びこれを避けるための方策について外務大臣と協議し、『当該方策を講ずることができると認めるときは』(筆者強調)」輸送を実施できるという規定に改められました。

 つまり、危険を減じるような方策をとれるのであれば、輸送を実施できるというわけです。ちなみに、具体的には現地の空港の安全確保や自己防護装置(ミサイルを回避するチャフやフレア、さらに機体への防弾板付加)などがこの方策に含まれるとされています。

 こうした法改正を受けて、2023年5月には南スーダンの情勢悪化により実施された在外邦人等輸送では、アフガニスタンの際と比べてスムーズに措置を実施できたという実績もあります。今回のレバノンにおいても、いざという時に自衛隊は迅速に措置を実施することができるでしょう。

【縁の下の力持ち】これが空自の”戦闘機じゃない”航空機です(画像)

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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