「ブルートレイン」は死語に? 「クルーズトレイン」が物語る夜行列車廃止の理由

むしろ夜行列車は廃止しない理由がみつからない?

 なぜそれほど隆盛していた夜行列車がいま、風前の灯火なのでしょうか。

 2014年度で運転を終える寝台特急「トワイライトエクスプレス」について、JR西日本は「車両老朽化のため」としています。

 また「北斗星」「カシオペア」「はまなす」については、青函トンネルが新幹線対応仕様になるため機関車を新しくする必要がある、深夜に青函トンネルの点検をしなくてはならない、といった理由が報道されています(ただ青函トンネルは重要な物流ルートであることから、深夜の一部時間帯に貨物列車を走らせる案も存在している)。

 そして鉄道会社が夜行列車を廃止する理由として、次のこともよく指摘されます。

・夜間に乗務員や駅員を確保することによるコスト等の問題。
・車両運行に必要な乗務員訓練の手間、コスト。
・長距離を走るため複数の鉄道会社をまたぐことがあり、調整や手間が増える。
・寝台車両を日中も活用することは簡単ではない。つまり日中は車両を使えず効率が悪い。

 しかしこうした理由は、仮に夜行列車の需要が非常に旺盛で収益性も悪くなければ、問題にならないものも多いと思われます。よって夜行列車の廃止は新幹線や航空機などの発達によって移動を目的とした需要が大幅に減少していることが根本にあり、発生した諸問題をコストと手間をかけクリアしてまで運行する十分な理由も社会的責務もない、とするのが自然でしょう。

 現在、夜行列車で活性化しているのは「ななつ星in九州」(JR九州)や「四季島」(JR東日本)といった移動目的ではなく周遊型の、旧来の夜行列車とは存在の仕方が土台から異なる豪華クルーズトレインであることも、それを物語っているかもしれません。

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青森駅で発車を待つJR唯一の定期急行「はまなす」(2007年12月、恵 知仁撮影)。

 ちなみに廃止がささやかれている急行「はまなす」は、定期列車としてJRに唯一残る急行列車です。寝台特急と比べると地味かもしれませんが、寝台車のほかに座席車を連結。昔ながらの夜汽車の雰囲気が非常に色濃く残っていますので、お早めのご乗車をオススメします。

【了】

テーマ特集「【鉄道】瑞風、四季島、ななつ星…クルーズトレインの特徴、サービス、料金は?」へ

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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6件のコメント

  1. 毎日25本も出ていたのですねぇ、そう思うとブルトレがなくなるなんて、嘘のようです。

  2. 夜行列車のない鉄道会社にロマンなど感じることは無い。もう汽車旅を気軽に楽しむ時代は終わった。これからはキャンピングカーで気ままな旅に出るのが乙かな。

  3. 夜行寝台列車は必用である。バスでは余り寝られず。子供の時からよく使い 社会人になってからも 新幹線等使わず 寝台列車で出張してた。バスより今もあれば使いたい。矢張り旅人には必用である。

    • そういう人が少なくなったから、廃止になった。

      菩薩さんにしても、毎日乗るわけでもなかろうし。

  4. なんか鉄道マニア用語って、定義が変なのが多い。そういうのは死語になった方がいい。

    ブルートレインもそう。なぜか青い寝台夜行客車特急だけが「ブルートレイン(寝台も夜行も特急も意味する語は含まず)」と呼ばれた。青いローカル昼行客車列車はもちろん、青い寝台列車でも急行ではダメみたいだし。
    ついでに言えば、東京近郊ではともかくとして、東北九州北陸では先頭の機関車が青くなかったはず。

    他にも、旧くなっても「新性能」「新系列」って呼び続けるとか、普通に違和感。
    あと「振り子式は車体傾斜とは別物」と言い張る人がいたり。(車体を傾ける為の一方式としての振り子機構でしょーが)

  5. 分割ではこうなっても仕方ないっす。
    新造したところで費用回収にどんだけかかるか。
    ヲタどもで2種会社でも起したらええのんどす。
    で、たんと赤字抱えて、帝国金融&萬田金融並みの追い込みをかけられ
    この世からチーン、幸せの方程式でつ!!