陸自が導入予定のオスプレイ、欠陥論は根拠なし 別にある真の課題

オスプレイが抱えている真の課題

 今回、陸自が導入する17機のオスプレイは総額3600億円となる見込みです。単純に機数で割ると1機あたり212億円となり、米海兵隊向けの単価86億円と比べると極めて高価に思えますが、これには予備を含む40基のエンジンや電子機器などの装備品、そして技術的サポートなど、運用に必要なものをすべて含んでおり、こうした「パッケージ価格」での調達は珍しいことではありません。よって機体そのものの単価は、米海兵隊向けと大差無い100億円程度とみられます。

 ただ、オスプレイの1機100億円という金額は陸自の航空機としては破格であり、オスプレイ以上の搭載力を有す大型ヘリCH-47J「チヌーク」の2~3倍、数の上で陸自の主力ヘリとなるUH-1J「ヒューイ」の10倍にも達します。オスプレイは高性能ですが、その半面、高価過ぎることが最大の短所となっています。

 オスプレイは、たかだか24名あまりを輸送するだけの航空機に過ぎませんから、島嶼防衛は輸送艦やヘリコプター搭載護衛艦を拠点とするほかのヘリコプターと共同で実施せねばなりません。従ってオスプレイを導入しても、何かが劇的に変化するということはありません。

 オスプレイの真の問題はその高すぎる価格にあります。本来ならば全く根拠のない欠陥論よりも、総額3600億円も投入してまで17機のオスプレイを導入することに本当に意義があるのか、こうした問題についての議論が行われるべきでしょう。

【了】

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

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5件のコメント

  1. これだけ高価な金払うくらいならライセンス生産権を買って日本の三菱や中島製作所、川西航空あたりに作らせたほうがより良いものができるのではないだろうか。何も米国産のオスプレイでなければならない理由などないだろう。同じモノづくりさせたら日本のほうが良いものができるのではないかと思ってしまうのだが、、、ゼロ戦や隼、飛燕など世界の名機を輩出した日本の航空機製造技術で作ればロッキードの技術などへでもないと思うのは考えすぎだろうか、、、

  2. >三上卓
    ひどい釣りを見た

  3.      *題目 GOOGLE+ソーシャルシェアボタンの設置希望します。
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       H.27.11.24 AM0:49 天童光雄    以上

  4. 用途・目的の違う物を横並びで比較する事に意味があるのか? 搭載量よりもヘリでは実現できない高い速度とヘリの使い勝手を両立する事に金掛けた機体ではないのか?

    論じるべきはその速度を日本として何に使うのかという点であるはずで、それに見あった金額かどうかという点であるはずだ。

  5. 欠陥論を根拠無しとする根拠が正しければいいのですが