JR駅に「営団ブザー」が鳴り響く! 発車案内も駅名標も“ちぐはぐ”な中野駅 特に3・4番線がカオスだった
JR中央・総武線各駅停車と東京メトロ東西線は相互直通運転をしていますが、その東側の境界駅がJR中野駅です。ここでは駅の看板や券売機、ホームの発車標、発車メロディなどがほかと少し異なる形となっています。
JR駅で鳴り響く「営団ブザー」
3・4番線ホームへ上がってみると、そこには東京メトロ仕様の発車標が吊り下げられています。足元の整列表記も東京メトロ仕様で、突如地下鉄の駅へやってきた感覚に包まれます。
しかし、駅名標のデザインはJR仕様。JR中央・総武線三鷹方面への直通電車も発車する3番線はもちろんのこと、東西線内へ発車する電車しかない4番線もJR仕様です。さらに4番線の駅名標には「区」の表記もあります。中野駅はJRの特定都区市内に含まれる駅なので当然ですが、東西線の路線カラーと駅名、ナンバリングだけが記載される中での「区」はなかなか強烈です。
3番線にある「電車がきます」の接近案内や柱に設置されたマジックハンド収納ケースの絵柄もJR仕様です。このケースにはジェイアール東日本企画(jeki)の広告枠も設けられており、「やっぱりJRの色合いも濃いんだな」という印象を受けます。
そんなことを考えながら観察を続けていると、「ポォー」という懐かしい音が。こ、この音は「営団ブザー」! 全駅が発車メロディとなった東西線(しかも始発駅からつなげて聴くと1つの曲になるというギミック付き)で、まさかこの音が聴けるとは……。他のホームではJRの発車メロディが鳴り響く中、この3・4番線ホームは(良い意味で)異空間です。
一方、三鷹始発の東西線直通電車が発車する5番線は、発車メロディも含めてJR仕様です。駅名標には当然ながら東西線の駅名やナンバリングも表記されていますが、3・4番線に比べてなんだか青色が濃いような……。東西線の帯は水色と青色だから両方を表現したのかどうかは知り得ませんが、同じ駅から発車する路線なのに青の色味が違うという、これまた面白い光景がありました。
ちなみに細かい話ですが、5番線からは東西線とJR中央・総武線各駅停車のいずれも発車するため、信号が変わったことを車掌や駅員に示すレピータも「JR」「地下鉄」の2種類があります。また、5番線の線路は途中から東西線の無線用の誘導線が枕木上に2本引かれており、この上をJR中央・総武線の黄色いE231系電車が走るのはとても珍しい光景です。
東京メトロとJR東日本が入り混じった、ある意味カオスな世界は中野駅ならではの魅力ですね。
Writer: 和田 稔(鉄道ライター)
幼少期、祖父に連れられJR越後線を眺める日々を過ごし鉄道好きに。会社員を経て、現在はフリーの鉄道ライターとして活動中。 鉄道誌『J train』(イカロス出版)などに寄稿、機関車・貨物列車を主軸としつつ、信号設備や配線、運行形態などの意味合いも探究する。多数の本とNゲージで部屋が埋め尽くされている。
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