改良重ね大進化! 阪神淡路大震災で誕生「自衛隊用レスキュー装備」とは 外国軍も是非使って!

日本屈指の大災害として記録されている阪神・淡路大震災で人命救助に尽力した陸上自衛隊は、そのときの教訓を基に災害派遣専用の装備を開発・導入しました。人命救助専用の装備は東日本大震災や能登半島地震などでも活躍しています。

調達開始から数年でさっそく改良型が誕生

 最初に完成したのが「人命救助システムI型」です。専用台車(ドリー)に積載されたコンテナは航空機や船舶での輸送に便利な国際標準規格(ISO)サイズで、CH-47J輸送ヘリコプターによる牽吊輸送も可能です。

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陸上自衛隊の人命救助システムI型。高機動車の奥に停まる大型トラックで牽引している(柘植優介撮影)。

 コンテナの左右側面は伸縮式で、広げると救護所や隊員の待機所などに使えるようになっており、内部にはユニットタイプのトイレやシャワー室を設置できるほか、隊員約100人分の装備が収納されています。なお、これら隊員用の資器材はさらに小型のコンテナに小分けで収納されており、キャスター付きの台車やリヤカーで運べるようになっています。

 人命救助システムI型は、さっそく1995(平成7)年度の第一次補正予算から調達が始まります。しかし、部隊で運用を始めてみると様々な欠点が見つかりました。

 なかでも最も大きかったのが、専用台車に乗った状態で大型トラックで牽引する、いわゆるトレーラー構造でした。この形状だと、牽引する大型トラックを運転する隊員にもけん引免許が必要になるため相応の技量が求められるほか、走れる場所も限られてしまいます。

 そこで、収納する資機材を約半分の50人分に減らし、それに合わせてコンテナも小さくすることで大型トラックの荷台に積載できるようにした「人命救助システムII型」が1990年代末に開発され、2000年代初頭より導入されています。

 なお、人命救助システムII型は、I型と比べて小型かつ収容する装備が少なくなったことにより、1セットあたりのコストも低廉化したため、全国の駐屯地に広く配備できるようになったのも特徴と言えるでしょう。

 参考までに、牽引車タイプのI型は調達数が42セットです。陸上自衛隊の駐屯地および分屯地は2025年現在、全国に162か所あるため、I型はその4分の1程度、主要な駐屯地にしか配備できなかったと考えられます。

 対してII型の具体的な調達数は不明ですが、少なくとも47都道府県すべて(陸自駐屯地のない奈良県には空自の奈良基地へ配備)に配備されていることから、そのことを鑑みるとII型の方が配備数が多いのは間違いなさそうです。

【え、トイレ!?】これが救援器材の詰め合わせ「人命救助システム」の中身です(写真)

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