中央線グリーン車があれば要らない? 「都内だけの短距離特急」廃止へ もう見向きもされないと思いきや…!
中央線・青梅線を走る都内完結の短距離特急「はちおうじ」「おうめ」。通勤ライナーを実質値上げして誕生したものの、一般の快速列車に連結されたグリーン車の営業開始に伴い廃止に。役目を終えたと思いきや、意外な需要がありました。
前身は中央・青梅ライナー 特急「はちおうじ」「おうめ」
JR中央線・青梅線の快速電車などでグリーン車が営業を開始するのに伴い、特急「はちおうじ」と「おうめ」がダイヤ改正前日の2025年3月14日で運行を終えます。通勤客に特化したダイヤのため一般利用者にはなじみが薄い特急列車ですが、乗車してみると、意外な利用実態がわかりました。
特急「はちおうじ」「おうめ」は中央線の特急用車両E353系を使い、平日の朝と夕方・夜にそれぞれ東京~八王子、東京~青梅を結んでいます。2019年3月のダイヤ改正で誕生しました。
それまでは特急用車両の間合いで通勤ライナー「中央ライナー」(東京~八王子)、「青梅ライナー」(東京~青梅)が運行され、ライナー料金は一律で普通車510円、グリーン車720円でした。“特急化”に伴って指定席特急料金が適用されるようになり、主要顧客の大人にとっては値上げになりました。
筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は当時、JR東日本役員から特急格上げの狙いを「定期列車の車両をE353系に統一して、従来のE257系と比べて着席サービスの質が向上するため、ライナーより高い特急料金を頂戴して(E353系への)投資額を負担していただく」と聞きました。
値上げに、私鉄の攻勢も追い打ち
ただ、値上げが一因となって「ライナー時代に比べて乗車率が悪くなった」とされます。また、「はちおうじ」の新宿と八王子の間は、京王電鉄の有料座席列車「京王ライナー」(新宿~京王八王子)、「おうめ」の新宿と拝島の間は西武鉄道の座席指定列車「拝島ライナー」(西武新宿~拝島)と競合しており、京王と西武が攻勢を強めているのも追い打ちを掛けました。
「はちおうじ」の定期列車は上下計5本、「おうめ」も上下計3本にとどまり、本数が圧倒的に多く、料金も割安な京王ライナーや拝島ライナーに立ち向かうのは難しくなっていました。
そんな中でJR東日本は、中央線東京~大月・青梅間の快速電車などで通勤用車両E233系の中間に2階建てグリーン車2両を増結し、12両編成とすることを決定。全編成にグリーン車がそろう2025年3月15日のダイヤ改正に伴って「はちおうじ」と「おうめ」は運行を終えます。
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