「マルチすぎる兵器」もう限界? 戦車も戦闘機も“機能分散”に逆戻りする、もっともな理由

世界の陸空両方で動いている次世代兵器プロジェクト。これらは有人の本体兵器以外に、サブとして無人兵器の運用も想定されています。ひとつで「なんでもこなす」兵器にはなり得ない――そこには切実な理由がありました。

戦車重すぎ問題 これ以上は…

 フランス陸軍のピエール・シル参謀総長は、2024年11月に開催されたフランス議会上院の公聴会で、「ロシアのウクライナ侵攻などの戦訓を反映した攻撃力や防御力を1両の戦車に盛り込めば、その戦闘重量は70tから80tに達してしまう。MGCSは現行戦車の進化ではなく、戦闘クラウドにおけるシステム・オブ・システムズになるべきだ」と述べています。

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配備されているレオパルト2の中では一番新しいレオパルト2A7 A1ミサイルやドローン対策などの防御装備が多数装備されている(画像:ドイツ連邦軍)

 シル参謀総長の発言はわかりにくいのですが、これはMGCSに求められる能力を複数の車両に分散搭載し、その車両は戦闘システムの一部となるべきだという意味です。

 レオパルト2などの現用戦車は、増加装甲の装着や搭載電子機器が増えたことなどで、重量が増加する傾向にあります。シル参謀総長の言うように戦闘重量が70~80tに達してしまえば、戦車の特長である機動性を大幅に損ねてしまいます。

 それを避けるために、求められる能力を複数の車両に分散するという同氏とフランス陸軍のMGCSに対する考え方は、合理的なのではないかと筆者には思えます。

【有人機とチームに】これが、人間の“オトモ”になる無人機です(写真)

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