「マルチすぎる兵器」もう限界? 戦車も戦闘機も“機能分散”に逆戻りする、もっともな理由
世界の陸空両方で動いている次世代兵器プロジェクト。これらは有人の本体兵器以外に、サブとして無人兵器の運用も想定されています。ひとつで「なんでもこなす」兵器にはなり得ない――そこには切実な理由がありました。
「マルチロール」の限界? 高いんじゃ!
第6世代戦闘機が有人戦闘機とCCAの組み合わせになるのは、搭乗員が戦死したり捕虜になったりするリスクを低減するためでもあるのですが、有人戦闘機は高性能であるが故に価格が高く、大量調達は困難です。このため有人戦闘機の不足を、能力の進化が著しいCCAで補うという目的もあるようです。
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現代の戦車と戦闘機は、主力戦車やマルチロール機と呼称されるように、1両(機)で様々な任務をこなせる多用途性がセールスポイントとなっています。
多用途性を持つ兵器が生まれた当時は、それぞれの役割を持つ兵器を買う必要がなくなり、軍事費を節約することができました。ただ2025年現在は、機体や車両の高性化によって、様々な電子装備や防衛装備などが新たに付けられることが多くなり、それに伴い重量も価格も上がる一方となりました。
たとえば、航空自衛隊も使用しているF-35に至っては、パイロットのヘルメットすらオーダーメイドで、ひとつ約6000万円するといわれています。
そうした重要増加や価格高騰の解消ほか、搭乗員の保護という観点から、戦車や戦闘機から、複数のユニットに機能を分散して、そのユニットを組み合わせた「陸上戦闘システム」「航空戦闘システム」の構成要素へと、姿を変えていくのかもしれません。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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