「バス路線4割廃止する!」怒りの“荒技”を繰り出した結果 日本有数の“バス競合都市”どう変わる? 立役者に聞く

9つものバス事業者が競合する岡山市で、市が路線の運行経費などを負担する「公設民営」方式を導入し、バス路線網を再編します。岡山市を動かした大きなきっかけが、2018年に地元最大手のトップが実行した“荒技”でした。

効いた荒技 バス再編の評価は

 小嶋代表は両備グループ創立100年の2010年、真心の思いやりを意味する「忠恕(ちゅうじょ)」を経営理念に制定しています。忠恕の精神に則って地域住民の足を守りたいのが本音で、危機感が伝われば拳を降ろすと筆者は予想したのです。

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両備グループの小嶋光信代表(大塚圭一郎撮影)

 実際、当時の石井啓一国土交通相が「人口減少や高齢化が進む中、これは岡山に限らず、地域において必要な公共交通の維持を図っていくことは重要な課題です」と対策の必要性を明言したことなどを踏まえ、両備グループは2018年3月に廃止届を取り下げました。この“荒技”が契機となり、岡山市は路線バスの再編に乗り出しました。

 両備グループの小嶋代表は2025年1月、筆者が岡山市のバス再編について尋ねると「よくここまで踏み切ってくれたと正直言って感謝している」と評価。「2018年に31路線の廃止届を出して国に対して問題提起をしなかったら、今回のような形はなかったと思う」との見解を示しました。

 なお、荒技を繰り出すきっかけとなった八晃運輸の益野線は2024年10月末をもって運行を終えました。

 小嶋代表は「ここまで苦労したのだから、日本一の公共交通だと自負できるような地域を作りたい」と強調。モデルケースとなって「他の地域にも『こんなやり方があるんだ』と理解してもらえる」と期待します。

 一方、国土交通省によると2018年度に全国の路線バス事業者の約7割が赤字です。小嶋代表は「新型コロナウイルス禍を経てバス事業はさらに苦しくなり、このままでは約10年後に全国の40%の路線が廃止に追い込まれかねない」と警告します。

 小嶋代表は、対策として「道路運送法を改正し、事業者と利用者の両方が満足する需給最適化した内容に変えないといけない」と強調。“地域の足”をできるだけ守るために「清水の舞台から飛び降りる覚悟で道路運送法改正を働きかけていく」と意気軒昂です。

【運賃も安すぎ!?】ここまでやるか「岡山の路線バス再編」(地図/画像)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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