JR西日本で2番目の「赤字区間」に乗る 長大ローカル線の端と端で“雲泥の差” 自治体がとった“異例の策”とは?

兵庫県から岡山県の中国山地に分け入る158kmもの長大ローカル線「姫新線」は、一部区間が存続の危機に立っています。乗り通すと、みるみる本数は減り、列車は遅くなり……この“東西格差”に対して、自治体は珍しい手に打って出ました。

地元自治体の“奇策”の狙いは?

 中国勝山からは保線作業員が添乗し、先頭の運転席の隣に立って線路の状態を確認していました。田畑を見下ろす丘陵部を縫うようにジグザグ進むため、制限速度25km/hのノロノロ運転の区間が続出します。

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中国勝山~新見間には、制限速度25km/hの標識が(大塚圭一郎撮影)

 隣駅の月田、新見の1駅手前の岩山は風情のある木造駅舎が残るなど途中駅は旅情を誘いますが、乗降客は全くいません。中国勝山と同じ顔ぶれの乗客のまま、終点の新見へ定刻の11時41分に滑り込みました。

 姫新線が市内唯一の鉄道路線で、かつ同線で採算が最も厳しい区間を抱える真庭市は2024年7月、JR西日本の株式を約1億円分購入する“奇策”に出ました。JR西日本は保有株式100株当たり1個の議決権を与えており、3万株以上を保有して300個以上の議決権を持っていれば株主提案ができるため、真庭市は3万4000株を購入しました。

 太田 昇市長は狙いについて「地方自治体の立場から地方路線を守る、そのために株主として意見を言う。また、そのために公金で株を持つということが社会的、政治的といった面で意味を持つ」と訴えています。2025年3月期には244万8000円の株の配当金収入が見込まれ、市民への運賃補助などの利用促進策に充てる方針です。

 しかし、株式の保有比率はわずか約0.006%のため、株主提案は可能であっても、株主の賛成多数を得て可決されるのは容易ではありません。ある金融関係者は「自治体がJR西日本の少数株主になってもできることは極めて限られ、購入後に値下がりしたことも考えると間違った投資だった」と批判します。

 JR西日本の長谷川一明社長は「株保有の有無にかかわらず沿線自治体は重要な利害関係者の一員であり、丁寧に対応する」と話しています。株主になった真庭市の出方も含めて、姫新線の今後の行方が注目されます。

【超長い!】これが“一部”存続危機のローカル線です(地図/写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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