「欧州標準戦車プロジェクト」のリスクヘッジ? 事実上の“レオパルト3”を考え始めたドイツの魂胆とは
ドイツとフランスが共同して次世代戦車の開発を進めるなか、ドイツ軍が自国の3社へ対し、レオパルト2の近代化改修にかかる技術研究を委託しました。次世代戦車までの“つなぎ”としたいようですが、新技術モリモリの別仕様にも見えます。
ドイツ・フランスで次世代の欧州標準主力戦車を開発中
ドイツ連邦軍装備・情報技術・インサービスサポート局(BAAINBw)が2025年2月5日、欧州オンライン調達プラットフォーム(TED)で、「レオパルト2」戦車の近代化改修「ブリッジソリューション」の内容を明らかにしました。KNDSドイッチェランド、ラインメタル、ヘンゾルトの3社に対し、「レオパルト2」近代化改修に関する技術研究の委託を公表したのです。
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すでにドイツとフランスは共同で、2017(平成29)年から次世代の欧州標準主力戦車を目指す「MGCS」開発プロジェクトを進めています。MGCSとは「Main Ground Combat System(主力地上戦闘システム)」の略で、量産開始は2045年の予定ですが、ロシア・ウクライナ戦争などの影響による国際情勢の緊迫化によって「レオパルト2」の近代化改修は、MGCS完成までの「橋渡し」(ブリッジソリューション)という位置づけになっています。
主な研究項目は、「レオパルト2」より強力なエンジン、数種類の130mm砲弾、射撃管制システム、新しい防御システム、自動戦闘マネジメントシステムとされています。この中でまず注目されるのが130mm砲弾です。ロシアの新型主力戦車T-14「アルマータ」に対抗するには、従来の120mm砲では能力不足と見なされています。
ただ、この点移管に関してドイツとフランスでは推挙する主砲が異なります。MGCSの主砲について、ドイツはラインメタル製130mm砲を、一方のフランスはKNDSフランスが開発した140mm砲を推しています。
どちらを選択するかというのは単なる技術的な問題というだけでなく、政治経済的なファクターも絡んでいるため協議は不調であり、現状では両方を完成させ比較するという妥協案で結論は先送りにされています。とはいえ、口径を130mmなのか、はたまた140mmにするのかという問題は将来のNATO(北大西洋条約機構)戦車砲弾の標準化に関わります。砲弾の持続的な受注をどちらが得られるかという国益に直結する問題なので、解決は容易ではないでしょう。
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