「戦車を撃破した!」→残念それは風船だ!? ウクライナの侵攻でも現役「ダミー兵器」のすごさ 騙し合は日々進化!
ロシアによるウクライナ侵攻では、ドローンや無人機によるハイテク戦闘が行われていますが、極めて原始的な戦法も現役です。そのひとつがバルーンやハリボテを用いたデコイです。今でもこうした欺瞞工作の効果はあるようです。
現代戦においてもハリボテや風船などで騙される!
4年目に突入したロシアによるウクライナ侵攻。この軍事行動で、ロシア軍は戦車部隊などとともに、第45独立偽装工兵連隊という工兵部隊も投入しています。同連隊は「膨張式連隊」という異名を持ちます。なぜなら、戦車や装甲車を戦場で瞬く間に増やすことができるのです――とはいっても、その車両のほとんどは本物ではなく、空気を入れたバルーンで作られたダミー戦車になります。
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軍事用語で「デコイ」と呼ばれるこうしたダミー兵器は、目の前で見れば偽物と判別できますが、遠方や上空からだと本物と間違うケースも多く、自動車などが登場する以前は人馬を、近代以降は車両を偽装するといった欺瞞(ぎまん)作戦がしばしば行われてきました。
かつて第二次世界大戦中の北アフリカ戦線では、こうしたダミー兵器が大量投入されています。砂漠などの乾燥地帯が舞台となった同戦線は、樹木などの遮蔽物に乏しく、航空偵察されると丸見え状態でした。これを逆手に取ったのが、ドイツ・アフリカ軍団を指揮していたエルヴィン・ロンメル中将(当時)でした。
ロンメルは、自動車に板などを張り付けてハリボテの戦車を作り、強力な戦車部隊がいるように度々見せかけました。先頭だけは本物の戦車を配備して、砂煙を出すことで、砂や空気のゆらぎなどで視認を困難にさせる戦法でした。ほかにも、偽装した燃料集結所や、指令所に模した偽の家屋なども設置しました。
これらの欺瞞作戦がどれほど効果を発揮したかは意見が分かれるところですが、枢軸軍は、戦車の保有数で劣勢の局面が多かったにもかかわらず、戦闘を優位に進めていた期間が長かったのは事実です。
一方イギリス軍も同じく、ハリボテなどを用いた欺瞞作戦を同戦線で展開しました。特に大規模だったものとして知られるのが、1942年10月から開始された「第2次エル・アラメインの戦い」です。
このときイギリス軍のモントゴメリー大将は、枢軸軍を北側から攻撃することを計画していましたが、南側から攻撃すると見せかけるために、北側に集めた戦車をトラックに偽装。対して南側にはハリボテ戦車のほかに、偽のパイプライン、偽の線路、偽の燃料や水を貯蔵する施設を設置したほか、さらには偽の建築音まで出して偽装しました。
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