どこでも見かけた北海道の「キハ40」消滅間近 3月に4路線で撤退 直角ボックス席の旅情あとわずか

全国で見られた国鉄形気動車「キハ40」。多くの線区でローカル列車に使われていた北海道でも、まもなく終焉を迎えます。昔ながらの直角のボックスシートに揺られる“ならでは”旅情が味わえるのも、あとわずかなのでしょうか。

外国人も乗り込んでくるキハ40普通「函館行き」

 途中、落部駅(八雲町)では、トランクを抱えた外国人旅行者が6人乗り込んできました。手提げ袋を見ていると、上の湯温泉「銀婚湯」からの帰りのようです。

銀婚湯は落部駅から10kmほど、落部川上流にある宿で、鉄分で赤茶色に濁ったお湯が特徴です。広大な敷地には野天風呂「隠し湯」が点在しており、くりぬかれた丸太に自然湧出の源泉がかけ流されている「トチニの湯」が特に印象的です。海外の方にも知られているのですね。

 透きとおる空気の中、海沿いに続くいくつもの集落と駅を抜けていくと、森駅に到着します。ここで25分間の小休止です。跨線橋を上ると、噴火湾の水平線、その向こうに駒ヶ岳のゆるやかな稜線も一望できます。

 森駅といえば、駅弁「いかめし」。駅では販売していないので、駅前にある柴田商店で買い求めることになります。ここも朝から営業しており、車内で見かけた趣味の人たちと談笑しながら会計を待ちます。

 筆者は先を急ぐために森駅で特急「北斗」に乗り換えましたが、キハ40普通は、函館駅までさらに1時間半の旅路が続きます。

根室本線でもキハ40健在 乗客の半分インバウンド?

 キハ40は根室本線の滝川~富良野間の全9往復でも運行されています(間合いで函館本線旭川~滝川間も走行)。

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滝川駅に停車するキハ40の観光仕様「道北 流氷の恵み」。根室本線での定期運用も3月まで(森口誠之撮影)。

 滝川14時57分発の富良野行きは1番線からの発車です。停車するのはキハ40の「道北 流氷の恵み」1両編成。2018年にラッピングが施され、車内は木目調の内装とイスに換装されています。いわば観光列車の簡易版です。

 発車直前に、札幌駅からの特急「カムイ」が到着すると、20人以上の乗換客がやってきました。彼らの荷物が多くて乗車に手間取り、出発は2分遅れ。立客もいます。

 車内を眺めると、乗客の半分以上はインバウンド客のようです。1990年代以降、富良野への冬の入込観光客数は激減していましたが、2012年頃からインバウンド効果で増加に転じています。2024年1月の外国人宿泊延べ日数は2019年同期比で約3倍。札幌との短絡ルートである根室本線の利用増にもつながっているようです。

 筆者は、3月に廃止される東滝川駅などを訪ねながら、キハ40の列車を5本、乗り降りました。滝川~芦別間は往年の炭鉱の街が点在しており、途中駅では地元住民の利用も目立ちます。最期の勇姿を狙う撮り鉄や乗り鉄も沿線や車内で見かけました。

【どこ?】「キハ40」引退する線区/残る線区(地図/写真)

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コメント

1件のコメント

  1. 森駅の写真で「羊蹄山」とあるけど、森からは見えない。見えるのは駒ヶ岳。