『パトレイバー』登場の戦闘車両だ! 都会のど真ん中で見つけた軍用車 なぜ大阪に?
第二次大戦以前から様々なタイプの装輪装甲車を開発していたイギリス。戦後に開発された4輪装甲車「フェレット」は1970年代まで生産され、現代でも一部の国では現役です。また軍払い下げの中古車両のうち1両が日本にあります。
有名作品に登場した装甲車と大阪で対面
先日、筆者(吉川和篤:軍事ライター/イラストレーター)は大阪府松原市にある「ミリタリーアンティークス大阪」(略称MAO)を訪問しました。
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ここは私設の軍事博物館で、80年前の第二次世界大戦や、1990年代初頭に起きた湾岸戦争などで実際に使用されたイギリス軍の軍用車両がいくつも動態保存されています。さらに無可動処理され安全性が担保された各種銃器など、武器や装備品なども保管・展示されています。また、事前に公式WEBサイトで告知された公開日には、軍用車両の体験試乗会も行われ、毎回多くの人が訪れるそうです。
そうした英軍車両の中で筆者の目に付いたのが、軽自動車よりやや大きめのコンパクトなサイズながら無骨な印象の4輪装甲車、ダイムラー「フェレット」装甲車でした。これは第二次大戦後に開発され、1952年から1971年まで4400両以上が製造された小型の戦闘車両です。
MAOに展示されているのは1963年に製造されたもので、個人的に同車に見覚えがあったのは、2014年に公開された映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー』に登場した車体であったからです。
この映画は、1980年代から90年代にかけてヒットしたアニメ『機動警察パトレイバー』を実写化した作品で、劇中でこの装甲車は警備用の「98式特型指揮車」として登場していました。
位置づけとしては、主人公らが所属する警視庁警備部特殊車両2課(通称、特車2課)が運用する警察用レイバー(人型有人作業ロボット)を指揮するための専用車両で、劇中では車体全体がグレー1色で塗られ、前面と側面に白色で大きく「特2」の文字を描き込み、ダミーの品川ナンバーが取り付られていました。
なお、CGではなく実車であったため、レイバーを搬送する大型トレーラーと共に、リアルな実物大プロップとして観客に強い印象を与えた「功労者」というべき車両です。とはいえ、市販の中古車をベースに改造したのではなく、まさしくイギリス軍が使っていた正真正銘の装甲車。MAOの松井裕一朗館長の手元にはどのような流れでやってきたのでしょうか。
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