特急の「半個室席」復権? 個室の時代にあえて“セミコンパートメント” 新型やくもで“狙い通り”人気爆発した理由とは

「普通の座席以上、個室以下」という位置づけの半個室空間「セミコンパートメント」が、JR西日本の特急「やくも」の新型車両に設置され、人気が沸騰中です。中途半端との受け止めもある“半個室”ですが、デザイナーに導入理由を尋ねると納得でした。

「ただものではない」構造の座席が生まれた理由

 川西さんは子育て世代の利用を促す方法を考えます。そこで、「(4両編成の)1号車の半分がグリーン車となり、残る半分のスペースをボックス座席にして何か面白い仕掛けを施そうという話が浮上した」とか。すかさず「子育て世代をターゲットにすることを(JRに)提案し、受け入れられました」と振り返ります。

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特急「やくも」の先代381系(左)と現在の273系。先代車両にセミコンパートメントはなかった(大塚圭一郎撮影)

 セミコンパートメントは、JR九州の特急「リレーかもめ」(博多~武雄温泉)などに使う車両787系や、特急「ゆふいんの森」(博多~由布院・別府)のキハ71系・72系なども備えています。ただ、豪華な個室をウリにする列車が増えた一方で、“半個室”のセミコンパートメントの導入は減少傾向にあり、いつの間にか使用を中止した列車もあります。

 川西さんはその理由も分析したうえで、新型「やくも」のセミコンパートメントは優れた居住性を提供するために“ただものではない”構造を導入しました。まるでお座敷のように、背もたれの間に平らな座面を広げられるのです。利用者は足を伸ばしてくつろぐことができます。

「うちにも小さな子どもがいますが、ひざに抱えて乗るのは無理なので子ども用の座席も予約しています。しかし、大人の体をホールドするのに適した構造の座席は、小さな子どもが腰かけるのにはきつい面があり、座敷のような一角を設ければ小さな子どもが楽に過ごせるだろうと考えました」(川西さん)

 しかも273系のセミコンパートメントは通路を挟んで2人用と4人用が並んでおり、グリーン車と同じ横3列なので空間に余裕があります。こんなぜいたく仕様なのにもかかわらず、2人用は通常の指定席特急券を2人で買えば、4人用は3~4人で購入すればそれぞれ追加料金なく予約できます。

 小さな子どもを連れて乗車した家族からも「とても快適に移動できたので、また利用したい」と満足する声を聞きました。

【なんじゃこりゃ!?】これが「やくも」の“カラクリがスゴいセミコンパートメント”です(写真)

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