特急の「半個室席」復権? 個室の時代にあえて“セミコンパートメント” 新型やくもで“狙い通り”人気爆発した理由とは

「普通の座席以上、個室以下」という位置づけの半個室空間「セミコンパートメント」が、JR西日本の特急「やくも」の新型車両に設置され、人気が沸騰中です。中途半端との受け止めもある“半個室”ですが、デザイナーに導入理由を尋ねると納得でした。

運行開始直後は予約低調で、取った対策は…

 それでも運行開始直後は、セミコンパートメントの存在があまり認知されていなかったため、予約が振るわなかったそうです。

 川西さんは注目してもらう方法として「入線時にセミコンパートメントのテーブルランプを点灯することを徹底してもらいました。窓辺が温かく明るい区画があることで、『あれは何だ』と、お客様の注目を集めると考えた」と明かします。

 さらに、JR西日本のインターネット予約サービス「e5489」からセミコンパートメントを予約できるようにシステムを改修しました。こうした地道な努力が功を奏し、利用者の間で人気がうなぎ登りになりました。

 273系は2024年の第23回「日本鉄道大賞」に輝き、選考理由の1つとして「セミコンパートメントでは沿線の雄大な自然風景を大きな窓から楽しみながら、家族やグループで旅行が楽しめます」と評価されました。

 日本の列車では採用がごく一部にとどまっているセミコンパートメントですが、273系が「お、ねだん以上。」の価値を提供して軌道に乗せたことで、採用例が今後広がるかもしれません。

【なんじゃこりゃ!?】これが「やくも」の“カラクリがスゴいセミコンパートメント”です(写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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