「信号待ち」が全国的に長くなるかも!? 警察庁が指針見直し “歩行者と車の分離”が大幅に増えそうなワケ

日本の交通事故死者は、スピードが最も遅いはずの「歩行中」が毎年最多。先進国では日本特有の現象を少しでも改善すべく、警察庁が信号運用の指針を見直します。ただし信号待ちは長くなるかもしれません。

歩行者と車両が分離されれば「歩行者見落とし」はない

 交差点は歩行者と車両が混在し、最も事故が起きやすい場所です。一般的な交差点では、歩行者と車両は同じ進行方向の信号に従いますが、歩行者が直進しかできないのに対して、車両は歩行者の直進を遮るようにして左折や右折をすることがあります。この場合、直進する歩行者が優先で、車両は一時停止して安全を確認しなければなりません。

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渋谷の有名な交差点で導入されているスクランブル式も、歩車分離信号の一種(中島みなみ撮影)。

 しかし、曲がった先の前方に気を取られて、横断中の歩行者を見落とすことが「歩行中」の事故につながります。

「歩車分離式信号」は、歩行者が横断する場合は、歩行者だけが交差点に入るように信号を制御し、車両が同時に交差点へ入らないことが基本です。歩行者の見落としによる事故を信号で防ぐことができます。

 歩車分離式信号に切り替えた全国100か所のモデル運用(2002年)では40%の事故を削減したという実績もありました。

歩車分離信号が“大幅に”増える可能性

 事故抑止効果がある歩車分離式信号ですが、全国には、1万294基(2023年末)しか広がりませんでした。そのため約20年経過した指針を見直し、整備を加速させることになりました。

 その大きなポイントが、事故現場となった交差点での導入を簡単にしたことです。

 今回の改正では、死亡事故が起きた交差点では歩車分離式信号の導入が自動的に検討されることになりました。そのほかの事故でも、過去5年にさかのぼって2件以上の交通事故があった交差点や、事故の危険性が高いと見込まれる交差点でも検討すべきと位置付けられました。

 さらに、通学路や公共施設付近で生徒、児童、幼児、高齢者などの交通の安全を確保すべき交差点では、特に歩車分離式信号の要望がなくても検討できることになりました。

【そりゃ信号待いわ】導入増えそうな“あまり見ないタイプ”の信号(写真)

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