「無人機どっさり空母」の艦載機は“中東製!?” 「石油がいつ消えてもいいように」無人機メーカーに 産油国の凄み
アラブ首長国連邦のEDGEグループが、同国で開催された防衛装備展示会で新型の戦闘用無人航空機(UCAV)を発表しました。石油という巨大な経済面での武器があるにもかかわらず、同国が防衛産業に注力する理由とは一体何なのでしょうか。
オイルマネーあるのにナゼ? 背景にある壮大な国家戦略とは
筆者が初めてUAEを訪れた2015(平成27)年の時点から、UAEの造船メーカーはUSV(無人水上艇)の開発にも積極的に取り組んでいました。当時のUAE造船メーカーには中小企業が多く、開発資金や営業力に限界がありましたが、業界再編によりそれらの多くはEDGEグループの一員となったため、今後はスケールメリットを活かして、USVの分野でも強みを見せてくる可能性もあります。
同グループはイタリアの造船メーカーであるフィンカンティエリや、スペインの総合防衛企業であるインドラと合弁企業を設立しており、NATO(北大西洋条約機構)非加盟国向けの艦艇やレーダーの開発・製造にも乗り出しています。
真偽のほどは定かではありませんが、アブダビ市街地の地下には現在のペースで生産しても50年以上は枯れることがないという手つかずの油田が眠っているという話があります。
これはサウジアラビアやカタールなどにも言えることなのですが、これほど天然資源に恵まれているにもかかわらず、いつの日か原油という経済上の強力な武器が尽きたときに備えて重工業国へと脱皮して自国と自民族の生き残りを図り、そのための有効な手段として兵器産業に投資していく……というはるかな未来を見据えた戦略には、うならされるものがあります。
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Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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