明らかに無理です! からの成功なぜ? ドイツ海軍がWW2で展開の“ブッコミすぎ作戦”戦艦「長門」にゆかりの艦も参加

今年は第二次世界大戦の終戦から80周年の節目の年となります。この大戦では、明らかに無謀そうに見えて「なぜこの作戦が成功?」と思うような不思議な戦いもいくつかありました。そのひとつが「ツェルベロス作戦」です。

偶然がかさなり奇跡的にキールに到着するも…

 翌日12日午前10時には、ドーバー海峡突入直前で偵察していた「スピットファイア」に発見されます。偵察機の報告を受けたイギリス海軍はただちに高速魚雷艇を発進させるも攻撃は失敗。さらに、魚雷を積んだ雷撃機の「ソードフィッシュ」6機も出撃しますが、これらの飛行速度が遅かったため、迎撃態勢を整えたドイツの戦闘機と艦艇による対空砲火の前に全機が撃墜されます。また沿岸砲からの砲撃も実施しましたが、これも視界不良で命中させることができませんでした。

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重巡洋艦「プリンツ・オイゲン」(画像:連邦公文書館)。

 そして14時30分過ぎ、ドイツ軍艦隊はドーバー海峡を通過します。海峡突破の際に、「シャルンホルスト」と「グナイゼナウ」が触雷しましたが、奇跡的に損害は軽微。さらに応急修理の間に、イギリス空軍の爆撃部隊に襲われるも、爆撃による損害はゼロという結果でした。

 いくつもの奇跡のような出来事が重なり、ドイツ軍艦隊は白昼堂々ドーバー海峡の突破に成功。キールの港に帰還しました。対するイギリス軍の面目は丸つぶれで、市民からは非難の声が殺到したため、この戦いに参加したパイロットに勲章を与えるなどして、その面目を保つために躍起になったといいます。

 こうして、自国に戻り、戦力の立て直しを図ることになったドイツ海軍ですが、実際そううまくはいきませんでした。キールの港は細い海路の奥にあり、海軍力に勝るイギリスとの艦隊決戦を避けるため、ほとんど“袋のネズミ”状態であった艦艇はブレスト港と同様、やはりここでも爆撃の憂き目にあってしまうのでした。

 このツェルベロス作戦は戦術的には奇跡の大勝利を収めたといっても過言ではありません。しかし、戦略的にみると大失敗でした。「グナイゼナウ」は、キールで空襲を受けて大破し、その後廃艦に。「シャルンホルスト」と「プリンツ・オイゲン」は空襲を恐れて別の港に退避しますが、その後は大きな活躍もなく、終戦を迎えることになりました。

 ちなみに、同作戦に参加した「プリンツ・オイゲン」は戦艦「長門」と共に戦後、アメリカ軍のクロスロード作戦で核実験の標的になった艦でもあります。

【現在も残る…】これが、ビキニ環礁に眠る「プリンツ・オイゲン」(画像)

Writer:

なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。

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