“西日本最大の赤字路線”の「秘境ターミナル駅」へ行ったら“意外にも大賑わい”だったワケ 「す、座れない…!」

春の青春18きっぷシーズン。どこに行こうかなと悩んでいる人に、ぜひ備後落合駅への訪問がオススメです。現状でも列車で到達するのが難しく、駅自体も存続の危機にあるといっても過言ではありませんが、意外にも、賑わっていました。

アプローチ困難な駅だが、行く価値は大

ところで、筆者が鉄道旅行を始めた年である1984年の時刻表(7月号)を見てみたところ、備後落合駅を発車する列車は芸備線広島方面が急行「ちどり」「たいしゃく」を含めて12本、新見方面が8本、木次線宍道方面が同じく急行「ちどり」を含め8本あり、合計で28本設定されていることがわかりました。

筆者は1980年代末に備後落合駅へ行った際、駅にはまだ活気があり、ホームで立ち食いうどんを食べたことを思い出しました。

今回、山陰本線側からアプローチして備後落合駅に向かいましたが、岡山方面から行く場合だと、新見乗り換えで備後落合まで行く列車は1日2本しかありません。しかも2本目は備後落合着が19時台で、乗り換え列車がすべて終わっているため乗車は非現実的。実質的には1日1本という状況です。

広島方面からだと芸備線を三次で乗り換える必要がありますが、三次から先、備後落合行きが4本出ており、宍道ルート・新見ルートより比較的移動は容易です。ただし、三次発14時台の列車以外は、宍道行き・新見行きともに備後落合駅で1~5時間待ちという接続の悪さで、移動の際に大きなロスが生まれます(そのロスを楽しむのもまた、鈍行旅の一興ではあるのですが)。春の18きっぷシーズンに備後落合駅に列車訪問したい! と思っている人は、くれぐれも時刻にご注意ください。

※ ※ ※

JR西日本では、芸備線のうち輸送密度が低く、地元の足として機能していない備後庄原~備中神代間68.5kmの「今後」について地元と協議を開始しています。うち備後落合~東城間は、100円の収入を得るのに「1万1766円」(2021~2023年度平均)かかるというJR西日本でズバ抜けた赤字区間となっています。

また、利用客が少なく、豪雪などで運休が多い木次線の出雲横田駅~備後落合駅間も、JR西日本は沿線自治体へ協議を申し込んでおり、予断を許さない状況です。話し合い次第では備後落合駅を通る路線が消滅し、備後落合駅も廃止される可能性は捨てきれません。現状でアプローチ困難な駅ですが、行く価値が大いにあるのは間違いありません。

【意外なほど人が…!】これが「日本一の秘境ターミナル駅」です(地図/写真)

Writer:

1971年生まれの自動車・鉄道系イラストレーター/ライター。雑誌、WEB媒体で連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。クルマは商用車や実用車、鉄道ではナローゲージや貨物、通勤電車、路面電車、地方私鉄などを好む。

最新記事

コメント