“古~い南海電車”総入れ替えか!? 「なにわ筋線」見据え激変

大手私鉄ながら登場から「還暦」を過ぎた電車も走ってきた南海電気鉄道が「なにわ筋線」の開業を見据えて車両更新を進めます。「激変」する車両の行方を探りました。

「鉄仮面」の後継も“ぶっ飛んだデザイン”に?

 南海のターミナルは大阪・ミナミの難波駅ですが、なにわ筋線への直通運転開始後はキタの大阪駅、および東海道・山陽新幹線と接続する新大阪駅に乗り入れる計画です。大阪市の資料などによると、南海はなにわ筋線経由で新大阪・大阪―関西空港間を結ぶ特急「ラピート」が1時間に2往復、空港急行が1時間に4往復すると想定しています。

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南海50000系「ラピート」(大塚圭一郎撮影)

 1994年に運行が始まった「ラピート」用車両50000系は「鉄仮面」の愛称を持つユニークな先頭形状と引き替えに、正面に貫通扉を備えていません。南海が新今宮以北で乗り入れるなにわ筋線は全線が地下のため、非常時に乗客と乗員が貫通扉から脱出できないのが難点となります。

 そこで、後継車両を開発して置き換えます。デザインは未定ですが、貫通扉を設けた先頭デザインは50000系と比べると保守的になりそうです。

 後継車両で注目されるのが、鉄道車両メーカーの受注獲得レースです。南海の50000系を含めた多くの車両は旧東急車両製造(現・総合車両製作所)が生産しましたが、8300系は「近畿車両が安い受注価格を提示し、総合車両製作所に競り勝った」(関係者)とされます。

 なにわ筋線に直通運転する「新生ラピート」も近畿車両が手中に収めるのか、それとも総合車両製作所が奪還するのか、はたまた第三極が出現するのか。メーカーは“難解”な受注合戦に挑むことになりそうです。

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Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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