「ティーガーだ!」←見間違いでした “最恐戦車”そんなに多くないから 実は現代戦でも起こる危険性が

戦場においてある兵器を恐れるあまり、人間の心理が生む誤認。現代戦ではドローンという新兵器が、かつてのティーガーIとは違った心理状態に追い詰めているようです。

ウクライナの戦場で再び見られるシュルツェンのようなもの

 21世紀に入って、再びシュルツェンのような追加防御が戦車に取り付けられるようになりました。ロシア・ウクライナ戦争では、対戦車ミサイルや携帯対戦車ロケット、さらに新たな敵として自爆型FPVドローンが猛威を振るっています。対策として、追加防御の一種であり、敵の徹甲弾や成形炸薬弾が命中すると内部の爆薬が爆発し、衝撃波によって弾頭の貫通力を低下させる爆発反応装甲(ERA)や、網小屋のようなケージ装甲を追加することが標準的となりつつあります。

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ウクライナ戦線に登場したT-72B3Mの「ツアーリ・マンガル」(突撃小屋の意味)。究極のドローン除けだ(画像:ロシア国防省)

 これらの異形は、見方によっては“現代戦の幽霊”に見えるでしょうか。ウクライナ軍は初期には対戦車戦闘に火炎瓶さえ使おうとしていました。そして今や自爆型FPVドローンという、3年前には想像もしなかった攻撃手段が登場しています。そうした脅威の目まぐるしい変化のたびに、戦車は設計変更するわけにはいきません。現場で急造した網小屋のようなケージ装甲から、より高度な迎撃弾を発射するアクティブ防御システムまで、攻防はまるでシーソーゲームです。

 戦場では常に敵の脅威が変化し、防御策も即応することが要求されます。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」というように、「ティーガー・ファントム現象」は敵味方の行動と戦場心理が絡み合い副次的に生み出された戦場伝説でした。

 現代戦では戦場の可視化が進みましたが、それでも人間の心理はほとんど変わっていません。それこそ、ウクライナ戦争などはドローンが戦場を支配しているようにいわれていますが、何年か後に検証した時、ネット上に氾濫する宣伝動画に煽られた「ドローン・ファントム現象」でしかなかったということになっている可能性は捨てきれないでしょう。

なんと! これがティーガーと見間違えた戦車です(比較画像)

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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