大阪万博で“正念場?” JR大赤字ローカル線、異例の増発で「来て!」 国鉄時代からの宿題
多くの人が訪れる大阪・関西万博を誘客のチャンスととらえ、利用促進につなげるため、加古川線の赤字区間で増発が実施されます。40年前の国鉄時代に廃止を“免れた”区間ですが、今回が正念場となるかもしれません。
夢洲・大阪駅から「谷川経由」で来るのか?
地元期待の万博と臨時便増発で、西脇市~谷川間は利用者数の急増が期待できるのか、個人的には厳しいと思います。

西脇市駅から大阪駅まで、谷川駅経由だと、特急利用で1時間40分前後で、特急券込み3420円。加古川駅経由だと、新快速利用で所要時間はあまり変わらず本数も多く、運賃のみ1690円です。西脇市内から大阪直通の高速バスもあります。谷川駅ルートはまず選択肢にならないでしょう。
実は、加古川線の厄神~西脇市間も将来は楽観視できません。2023年度の輸送密度は2904人。国鉄時代の基準でいうと廃止対象線レベルです。県と関係市は独自に利用促進を実施していますが、乗車客数は伸び悩んでいます。
また、粟生駅で接続する神戸電鉄粟生線への本格的支援も先送りされています。兵庫県のバス最大手の神姫バスと子会社のウイング神姫は、西脇市内など路線バスの減便や路線廃止を進めています。西脇と大阪を結ぶ高速バスも大幅に減り、西日本JRバスは撤退しました。
可能性のある公共交通機関を中長期的に残すためにはどうすべきか。関係自治体は真剣に考える時期だと思います。
Writer: 森口誠之(鉄道ライター)
1972年奈良県生まれ。大阪市立大学大学院経営学研究科前期博士課程修了。国内全鉄道と海外80ヶ国以上を旅しながら鉄道史や資料調査に没頭する。主な著書に『鉄道未成線を歩く 国鉄編』『同 私鉄編』、『開封!鉄道秘史 未成線の謎』など。
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