自衛隊史上「最も長~く飛ぶミサイル」速度は平凡どこがスゴイ? 開発元が説明したメリットとは

航空自衛隊が導入を予定している新型の対艦ミサイル「JSM」。北欧生まれのこのミサイルは射程こそ長いものの、速度は平凡なのだとか。ただ、F-35戦闘機と組み合わせることで高性能を発揮するようです。

軍艦の防空網を突破できる力がアップ!

 KDA社の社員によると、JSMの優れた特徴は2つあるといいます。ひとつは軍艦の防空網を突破できる能力で、社員はこれを「penetrate(貫通)」という単語で表現していました。

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「アバロン・エアショー」に展示されたJSMのフルスケールサイズの模型。ミサイルの全長は4m、重量は416kgとなっている(布留川 司撮影)。

 兵器の貫通力といえば、一般的には兵器の弾頭の多さや破壊力を連想します。しかし、ここでいう貫通とは物理的な意味ではなく、目標の防御を突破できるミサイルの能力を指しています。

「現代の軍艦は複数の防御網によって守られていますが、JSMはその防御網を突破できるだけの能力があります。これをどうやって行うかは具体的には言えませんが、本ミサイルは『低空飛行性能』『ステルス性』『パッシブセンサー』『高い機動性』を備えており、これら能力によって実現しています」(KDA社社員)

 軍艦は、基本的に複数の対空ミサイルや対空砲を装備しているため、攻撃しようと近づく対艦ミサイルは命中する前に迎撃される可能性が高いです。そのため、近年の対艦ミサイルは撃墜されないよう、高速で飛行する弾道弾化や超音速での飛翔能力が付与されており、ミサイル自体も大型化する傾向にあります。

 しかし、JSMはF-35に機内搭載するために大型化できず、飛行速度も従来のミサイルと同じ亜音速(数値は非公開)です。ただ、目標のレーダーやミサイルを回避するために優れたステルス性や機動性を備えており、本ミサイルを開発するノルウェー政府の公式発表よると、ミサイル本体は複合素材で作られているためレーダー反射が低くなるように設計され、飛行制御も「小型自律航空機として機能する」としています。よって、状況に応じてミサイルが自律的に防空網を避ける飛び方をする模様です。

 弾道弾や超音速飛翔する対艦ミサイルが防空網を突破するのを、スピードによる「力業」と表現するならば、JSMはテクニックでこれを回避するといえるでしょう。

 ミサイルといえば「撃てば命中する」という漠然としたイメージがありますが、対艦ミサイルの場合は迎撃や妨害によって攻撃が阻止される可能性が常にあります。そのために、多方向からの複数同時攻撃といったさまざまな攻撃戦術が必要となり、JSMにはミサイル自体にそのような能力が兼ね備わっているようです。そういう意味ではこのミサイルは防衛能力を高める有効な手段となることは間違いないようです。

【ウェポンベイ開いてる!】F-35がステルスミサイル「JSM」発射する瞬間です(写真)

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