自衛隊史上「最も長~く飛ぶミサイル」速度は平凡どこがスゴイ? 開発元が説明したメリットとは

航空自衛隊が導入を予定している新型の対艦ミサイル「JSM」。北欧生まれのこのミサイルは射程こそ長いものの、速度は平凡なのだとか。ただ、F-35戦闘機と組み合わせることで高性能を発揮するようです。

ステルス機から放たれるステルスミサイルの脅威

 KDA社の社員が挙げるJSMのもうひとつの特徴は自律的な目標探索能力です。JSMはミサイル先端のセンサー(シーカー)が目標付近で自律的に敵艦や地上目標を捜し、それを識別することができます。たとえば、命中地点付近に複数の艦艇がいた場合、その中から正しい目標を捜して正確に攻撃することができます。これはミサイル自体の命中率だけでなく、長距離攻撃では特に重要となる要素だと社員は説明します。

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「アバロン・エアショー」で飛行展示をするオーストラリア空軍のF-35A。同国もJSMの開発に資金提供をしており、今後導入することになっている(布留川 司撮影)。

「みなさんはこのミサイルの射程の数字ばかりを気にしますが、それよりもその遠方で何ができるかが重要です。つまり、攻撃を成功させるにはその長距離を飛翔後に、敵を見つけて正確に識別し目標を特定する必要があります。JSMはこれらプロセスを自律的に行えるだけの目標探索能力があります」(KDA社社員)

 また、目標を捜し出すセンサーにも特徴があり、その探索方式は自らの存在を露呈しないパッシブ型となっています。現在運用されている多くの対艦ミサイルは、ミサイル先端に搭載されたレーダーを使って目標を探索します。しかし、レーダーは電波を放出するため、それが警報のようになって敵側にもミサイルの飛来を知らせることになります。

 JSMでは「完全なパッシブ型のデュアルユースのセンサーを搭載」(KDA社員)とのことで、命中するまではミサイル側からは存在を露呈することはありません。これはF-35のステルス機という利点にもプラスになることで、目標が警戒態勢に無い場合は、接近から攻撃・命中までの全行程を奇襲的に行うことができます。

 このようにJSMはF-35に合わせた新世代の対艦ミサイルといえる存在であり、F-35という戦闘機の対艦・対地攻撃能力を飛躍的に高める装備だといえます。特に四方を海に囲まれた島国の日本にとっては、防衛政策において重要な存在となるでしょう。

【ウェポンベイ開いてる!】F-35がステルスミサイル「JSM」発射する瞬間です(写真)

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雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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