「怪しい航空機接近」が多すぎる! 戦闘機スクランブルで疲弊する空自 “コスパ良い方法”を模索

近年、日本周辺で活動が活発化している中国軍機。なかでも無人機の飛来数が増えてきています。これに対して、航空自衛隊は有人戦闘機による緊急発進で対応していますが、費用対効果の観点から無人機による対応が検討されているようです。

過去にも同様の検討が…!?

 実のところ、航空自衛隊は過去にもUASによる緊急発進を検討したことがあります。

Large 20250420 01

拡大画像

M-346練習機の軽戦闘機型「M-346FA」。機種部にレーダーを搭載しており、空対空戦闘にも対応できる。M-346からは練習機としても使用できる「M-346FT」も開発されている(竹内 修撮影)

 それは、航空自衛隊が運用するF-15J/DJの後継機選定が取りざたされていたころの出来事です。合計213機が導入されたF-15J/DJのうち、110機は能力向上改修に適さない、いわゆる「Pre-MSIP機」でした。当時の安倍内閣の政治判断で、2018(平成30)年末にPre-MSIP機の後継機はF-35A/B戦闘機が導入されることになったのですが、政府と防衛省の一部には将来のパイロット確保が困難になることなどから、Pre-MSIP機の後継機は導入しないという考え方も存在していました。

 航空自衛隊は、Pre-MSIP機の後継機が導入されないという最悪の事態をにらんで、当時の防衛大綱で定められていた戦闘機保有数の上限、いわゆる「定数」に入らない、ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)のジェットエンジンを動力とするUAS「アベンジャー」を導入して、緊急発進の任に充てることを考えていたようです。

 これが検討されていた2010年代半ばには、まだ中国のUASは現在ほど活発に活動していなかったので、おそらく情報収集機などの有人航空機を対象とする緊急発進を想定していたものと考えられますが、非対称目標に対する緊急発進にUASを使用するという考え方は合理的だと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

 とはいえ、航空自衛隊は2025年4月現在、緊急発進に適したUASを保有していません。

 T-4練習機の後継機として名前が取りざたされているM-346やT-50などには軽戦闘機型が開発されていますので、F-15J/DJなどに比べて運用コストが低く、練習機との機種統一で運用コストの低減が見込めます。こうした軽戦闘機を当面の間緊急発進の任に充て、その間に緊急発進に適したUASの整備を行っていくという手法も、経済的な損失を極力抑えながら、領空の安全を確保する上で検討していくべきだと筆者は思います。

【コイツで「緊急発進!?」】導入が検討されていた「ジェット無人機」たち(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. これね、本当黙っていてもらいたかった。

    スクランブル回数が増えると機体の寿命が減っていくので、国力で勝る仮想敵国はスクランブルを誘うだけで、戦わずして相手国の防空力を疲弊させることが出来ちゃうんだよね。

    国力で負けている国としては、この事はマジで黙っていてもらいたかった…。

    頼むよ…。

記事ランキング

  1. イラン海軍の潜水艦が「撃破される瞬間」捉えた映像が公開 3隻の無人ボートが基地を急襲 “米軍史上初”の攻撃
  2. ロシア軍の攻撃ヘリが「飛行中に急襲される瞬間」捉えた映像が公開 背後から「刺客」が忍び寄る
  3. フェリーが「浮上した海自の潜水艦」を発見!日本一深い湾の「レアな光景」捉えたショットが公開
  4. 「最新鋭旅客機」が駐機中に突如“崩れ落ちる”! 前脚が折れ機首が激突…「衝撃の瞬間」なぜ発生? 背景が明らかに
  5. 惨劇なぜ? 旅客機の客室窓が“上空で木っ端みじん” 「乗客の体が吸い出された」戦慄の様子が公開される
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  3. 海自の潜水艦が発射した魚雷が「揚陸艦へ突進」 雷跡を上空から捉えた珍しい写真が公開される
  4. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号