解体に新造… 九州の鉄道支えた「134歳の工場」移転間近! 空からも見えた歴史とは
小倉工場を前身とするJR九州小倉総合車両センターは、開設から約130年間稼働し、2031年度に移転予定です。大正初期のレンガ造りの建屋があるなど、歴史を感じさせるものの古さも否めません。今回は空撮写真を紹介します。
九州鉄道の時代から130年あまり稼働
福岡県北九州市にある小倉総合車両センターは、JR九州唯一の車両工場で、国有化前の九州鉄道が1891(明治24)年4月に開設した小倉工場を前身とします。ただ、老朽化などの課題も生じていることからJR九州は2024年7月、新たな車両基地を建設すると発表。新基地はJR貨物の東小倉貨物駅跡地を活用する計画で、現在も同社との協議が続いています。

小倉総合車両センターは134年間、JR九州全ての在来線車両の検査、改造、更新、解体を受け持ってきました。さらに811系電車や観光列車「ゆふいんの森」「ななつ星in九州」など、新製車両の製造も手がけてきました。
JR小倉駅の南西、日豊本線沿いの小倉北区金田にある車両センターは、北九州都市高速の愛宕ジャンクションに隣接して敷地があり、工場建屋が密集しています。
周囲はマンションと一戸建てがひしめき合う住宅地ですが、小倉工場が開設された当時は人口密集地ではなく、宅地化は後年になってからです。1920年代初頭の旧版地形図を開くと、日豊本線がまだ豊州本線の名称で、その頃の市街地は豊州本線の東にありました。近隣には旧陸軍の兵器廠や練兵場も設けられており、田畑の広がる地域に鉄道工場があったことが読み解けます。
この場所に小倉工場を開設したのは、燃料となる石炭の発送地が多く、港が近いために車両の陸揚げと整備が容易であったから。また鹿児島本線と日豊本線の分岐点に近く、九州各地の車両を回送してくるのにはちょうど良い場所でもありました。
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