解体に新造… 九州の鉄道支えた「134歳の工場」移転間近! 空からも見えた歴史とは

小倉工場を前身とするJR九州小倉総合車両センターは、開設から約130年間稼働し、2031年度に移転予定です。大正初期のレンガ造りの建屋があるなど、歴史を感じさせるものの古さも否めません。今回は空撮写真を紹介します。

新基地の広さは現行の半分ほど なぜ?

 たしかに立地は良い場所です。しかし、先述した老朽化に加え、旧来の施設は国鉄時代の車両検査を基準とした設計のため、近年の新形式車両は検査のたびに編成を分解する手間がかかり、非効率でした。

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小倉総合車両センター全景。表門は写真右下のかまぼこ屋根の会食所付近。右がJR日豊本線。写真上が小倉駅方向。レンガ壁面の建屋もあり、歴史を感じさせる(2013年5月31日、吉永陽一撮影)

 また、敷地の西側を流れる板櫃(いたびつ)川が氾濫した際の想定浸水区域(3m未満の浸水)に含まれます。河川が氾濫してひとたび浸水すれば、JR九州唯一の工場は操業を一時停止せねばなりません。こうしたことも、新たな車両基地を建設する一因となりました。

 新車両基地への想定投資額は約480億円、竣工は2031年度を予定しています。注目すべきはその敷地面積で、現行の小倉総合車両センターが約15.8万平方メートルであるのに対し、新車両基地は約7.8万平方メートルと約半分です。JR九州はこの理由を、新技術の導入や検査ラインの効率化、車両検査日数の短縮、省人化によって、機能をコンパクトにまとめるためと説明しています。

 移転が完了すれば、130年以上続いてきた鉄道工場は「思い出」となります。筆者(吉永陽一:写真作家)は2013(平成25)年、小倉総合車両センターを空撮していました。少々古い記録ですが、同センターに大きな変化はありません。空撮当時は将来移転することなど知る由もなく、九州初の鉄道工場の今を記録する目的で全体像を捉えました。詳しくはギャラリーに掲載しています。

 なかでも「鉄工改造場」と「自連ばね検修場」などはレンガ造りの重厚なもので、これらは大正初期に建設されたとのこと。同センターでは学生を対象とした見学会のほか、有料見学会も実施しており、間近に建物を観察できる機会もあったようです。

 なお、新車両基地へ移転後の跡地利用についてはまだ検討段階です。北九州都市高速に隣接し、小倉駅に近い立地条件ゆえに、何かしらのまちづくりがされるのではと予想できます。計画が予定どおりに進行すれば、大規模再開発によるまちづくりは2031年以降に大きく動くかもしれません。

新基地はどこへ? 現行の小倉工場との位置関係(写真)

Writer:

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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